▲西郷隆盛の信念が伝わった講演
奥徹氏は講演で、
「三度の島流しと三度の死に損ないに遭遇した事が強靭な精神力を養い、『無の境地』に到達し、天理を悟った」のだと語られた。加えて、
奄美での愛加那との恋愛と結婚。三度目の島流しでは、四畳半の格子牢での生活に死の寸前まで追い詰められたが、番人の土持政照母子によって救出されて、人の情を知った。と、西郷の原点について、奥徹流の答えを示された。 ─ この辺り、講演会場では今ひとつ、よく分からないところだった。が、帰ってから拝読すると、巻頭文が井戸敏三兵庫県知事、そして序文が前神戸市長で鹿児島市出身の笹山幸俊氏であった。笹山氏の序文には「子供の時代から、西郷先生のお話をよく聞きました。敬天愛人・虚心寡欲のお話は今考えますと、今の世の中の事を心配された先生のお気持ちがよく解ります」とあった。
しかし、その根底には、西郷が尊敬していた島津斉彬公が常に、若き西郷隆盛を隣に座らせ、「経済の原点は化学と物理にある」と、いつも地球儀を回しながら教えたことがある」
なるほど、今の日本、今の時代の人々には、現代版西郷隆盛ともいうべき人が本当に必要なのかも知れないと、つくづく思った。