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2016年 02月 02日 火曜日

焼き芋屋は、とても大きな音をたてながらやってくるので、かなり遠くからでも分かる。だが、ずっと近くに居座っていられたら、たまらない。そんな大きな音が出っぱなしで困ったのは… つい先日。事務所に帰ったのは、1月28日の12時10分。事務所の前には、他府県ナンバーの保冷トラックが駐車していた。

それが、駐車していただけならまだしも、焼きいも屋さんのような、あのピーという高い音が続いていたのだ。あまりの喧しさに電話もできず、耐えられなくなって出て行くと、ドライバーがいない。事務所に戻り、5分ほど待って再び車に行くと、今度はドライバーの方が戻っておられたので、「この音では仕事ができない。どうなっているのか」「どこに行っていたのか」と聞くと、あの居酒屋だと指さし、「あなたは知っているか分からんが、汚い排気ガスを出さないための排ガス燃焼装置があって、それがこの音を出す」と説明してくれたが、「エンジンを気って音を消すと、再びエンジンが掛からない」と言う。そんなバカなと訝りつつ、ひとまず警察に来てもらう事にした。

しばらく間があって、遅れ気味に警察官がやって来られた。が、説諭の上、そのまま「行きなさい」と放免し、何らの処置を取ろうとしないので、私が「検挙するべきでないのか」と尋ねると、「検挙できない」と言う。警察官が現認していないから、だそうだ。私は、「現認していなくても、本人が駐車違反を認め、多くの人が目撃し、私の事務所には時間を記した経過のメモもある。これで逃がしたら、善良な市民が怒りそうだし、不公平だ」と指摘した。市民は、たったの1〜2分、配達している間の駐車でも1万円の罰金を払わされている。(「運転者が車両を離れ、直ちに運転できない状態にある」かどうかが分かれ目で、この運転手は離れていた)

昨年の4月頃、もっと大きなトラックが片足を歩道に乗り上げて駐車していて、横断を妨げていた事があった。2時間もの間ドライバーが昼寝をしていたのその時も、警察官は無罪放免にした。近隣の方々は皆、その処置に怒っていたのだが、きっとその時も、「現認していない」のが理由だったかも知れない。

私は、「警察官の現認は重要だが、裁判の時に勝てるかどうかの要素であって、検挙できない事はないと思う」と主張した。なかなか良い警察官で、「問い合わせてみる」と答えてくれた。この警察官は、本部に問い合わせる誠意を見せてくださった。それが、私には嬉しかったのだ。

問い合わせた結果は、「私の協力があれば、検挙できる」だった。だが、私は「警告にして下さい」とお願いした。ドライバーは、大変正直な良い人だった。きっと、仕事で已むを得なかったに違いない。その後の「勉強になったなぁ!」という警察官の独り言も、嬉しかった。

DPF
▲ 例 : 日産の2Lエンジン用DPF
後で調べて見ると、音の原因はDPF、ディーゼル微粒子捕集フィルターという装置。あのディーゼルの塵を取り除き、目詰まりしたら、それを燃やして解消する仕掛けで、まだ発展途上の技術らしい。手動で再生しなさいという警告灯がついた後、ある設定された距離…例えば50kmほど走るとエンジンが強制停止され、二度とかからないそうだ。そのため、路肩や空地、コンビニの駐車場などで長時間、高回転アイドリングしなくてはいけない。

走れなくなる不安と、積荷の延着損害の危惧にさいなまれながら、停車してアイドリングを続ける安全な場所を確保しなくてはいけないドライバーは、本当に大変だろう。長時間高回転アイドリングが可能な場所を、例えばトラックメーカーやその販社が、自社の敷地などに提供するように行政から指導するなど、何らかの対策が求められる。高速道路のガード下など、利用できる空間はあるだろう。空気を綺麗にするのは大事なことだが、装置だけ押しつけて運用上の問題には頬被りでは、いけない。

それにしても、あの警察官、きっと優れた警察官になって行かれるだろう。ドライバーの方も、私はもとより、隣のクリーニング店や向かいの電気店にも、おわびに廻っておられた。皆、喜んでいて、気持ち良く解決されたのだった。