▲ ベランダの糞害
そこで新井さん、全国で同じ被害で悩む住宅や商店街をお調べになり、ある方法を提案してみられた。それは、ムクドリがとまらないよう、屋根にネットを張るという、単純にして完璧な方法である。だが、それを指定管理会社に提案してもダメだったので、私の出番となった次第。
私は、新井さんが動きだして2年も経っている事から、多分、住宅都市局は十分承知しているだろうと踏んで、上から行くしかないと判断。トップの長谷川局長に、直接陳情する事にした。
陳情当日は、困っている住民の人々が一緒に来られ、状況を訴えられた。新井さんも切々と訴えられ、結果、長谷川局長は「ムクドリは保護鳥で駆除も出来ないので、全国の政令市も各施設も大変困っている。さりとてこのまま放置する事も出来ないので、この9〜10月に行われるこの市営住宅のリニューアルの機会に、新井さんの提案の方法でやって行く事を、専門家も入れて検討してみたい」と、明快な答え。これには、全員ホッと一安心した。
新井さんは、ここまで来るのに各地のムクドリ撃退方法を見て歩かれたという。この方法に確信を持たれたのは、阪神魚崎駅のネット作戦だったと、写真を示された。よく努力し研究して下さっていたのも、市を動かす力になったのだ。
それにしても、この市営住宅、神戸市の誇る物で、HATは"Happy Active Town"の頭文字をとったもの。トータルデザインは、なんと日本で超有名、今新国立競技場で話題の、あの建築家安藤忠雄さんだ。デザインを重視するばかりに、ベランダの屋根にハリをつけられたのだろうが、まさかムクドリまでハッピーなとまり場になるとは…。設計とは、そして、市長の手紙とその返事も…いろいろ、本当に難しいものだ。