そんな彼の歓送会が、在日本大韓民国団兵庫県地方本部と市、県の日韓友好議事連盟の議員団等4団体の主催で、去る7月30日木曜日午後6時から、ホテルクラウンパレス神戸で開かれた。
各界の代表やご友人など、総勢350名の方々がつめかけた会の初めに挨拶に立たれたのは、地方本部長。歴代いろいろな総領事が来て下さったが、すべてにおいてナンバーワンだった。仕事の質と量においても人とのコミュニケーション、誰とも差別せず、誠実に話し込み行動する難しい人脈を見事に調整するその人柄は、清潔で高い人物だったと褒め上げられた。私は、自分が感じていた事を言って下さったので、思わず「その通り!」と声を出して拍手し、それにつられて皆も拍手された。
「李 成権さんは、帰国して来年の4月に、国会議員に立候補される。いずれは大統領になって欲しい」と語られた。そこで私がまた「そうだ!」と声をあげたら、またも大きな拍手が起きた。それほど、皆が敬愛しているのである。
李 成権さんは、韓国の大学を卒業後、早稲田大学に3年半留学され、河野一郎代議士の秘書を経験し、帰国して国会議員となった後、神戸の総領事となられた。総領事になって3年を経た今は、46才。再び、国会議員めざして釜山から出馬される。返礼スピーチではニコニコしながら「こんなに盛り上がっているのは、私がいなくなるので、喜んでいるのですか」と、笑いを取られてから、一言一言淡々と、思い出をかみしめるように語り始められた。
▲挨拶される李総領事
「私は、13人の議員と神戸の人々と日韓国交正常化50周年に向けて、韓国の文化とスポーツを神戸の人々に受け入れてもらうよう努力した。料理に音楽、テコンドー…すべて受け入れて下さった。個人的には、釣りを楽しんだ。釣りでは、神戸市民よりもポイントを研究した。お酒を何回も朝まで飲み、歌い、語った。力一杯働いた。お陰様で、韓国政府から世界一の総領事として表彰を頂いた。これも仲間のお陰だ」と、静かに語ったその話は、私の胸を打った。私は、日本の、終戦後に命を捨てて働いた官僚たちを思い浮かべた。そして、長時間、日韓の歴史とその認識について議論した事を思い出していた。
最後の別れは、来週。私邸にお招きいただいていて、神戸大学で博士号を目指しておられる素晴らしい奥様にもお会い出来る。本当に、この人に大統領になって欲しい。私は韓国人になってでも釜山にはせ参じ、運転手でもビラ配りでもして応援したい ─ そう思うほどだ。
お招きの日には、神戸の記念にと、釣竿をお贈りするつもりでいる。どなたか、良い釣竿をご教示くださらぬだろうか。