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2013年 11月 08日 金曜日

山本太郎参議院議員が、園遊会で天皇陛下に手紙を片手で、直接お渡しした件が大問題になっている。長く議員をしていると、色々な事を思い出すものだ。私も… 議長時代に園遊会にお招きを賜った。

事務局から、「陛下には、話しかけない事。聞かれたら、答えて下さい」と、簡単な注意があった。もとより、陛下にお話し申し上げる事も無い私は、列から離れて、後の方にいた。ただ、もし目についたら、と思い、地場産業のパチンコ玉位の真珠をモーニングに付けて、胸を張っていた。

陛下の目にはとまらなかったようだが、参列の多くの方が、珍しい人物と思ったか声を掛けて下さった。多くの友人ができるなどして、自分なりに楽しめたのだった。

そう言えば、阪神淡路大震災の関係で神戸市役所にも、天皇皇后両陛下は行幸啓の折にお立ち寄りあそばされた。その時、市会事務局からは「決して話しかけないように」と、注意があった。

あれは、平成13年4月24日。私たち市会議員は、1号館の入り口に整列して、陛下をお迎えした。その時、ある一年生議員が飛び出して、皇后、美智子様に話しかけ、会話したのである。美智子様はニッコリとしてかわしておられた。この議員は、もとより山本太郎参議院議員のような政治利用などのパフォーマンスではなく、彼の姉上の事だったらしい。親しさのあまりと偶然性のために、つい言葉が出てしまったのだろう。たわいもない事だったのだろうけれど、故島田五三郎議員は怒っていた。私も、マナーは守って欲しいと思った。

そうした意味では、橋下市長が言う通り、法律で決まっていなくても守らねばならないものがある。それも、文化だと思う。バチカンでは、ローマ法王が決定した時は白い煙で知らせる等、理屈に合わない事を伝統として守り続けている。楽しいではないか。

天皇陛下には、こちらから話しかけない ── これは、日本の伝統として守ってもいい。勿論、「こんにちは」「おはようございます」といったご挨拶を申し上げるべき状況はあり得るだろうけれど。すべからく、常識で判断するのが大切なのだが、特に皇室にまつわる諸々の常識は、どこか薄らいでしまっている気がするのである。