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2010年 06月 14日 月曜日

全国的に通用するハイレベルな技術を持った技能者を認定すべく平成5年から始まった「神戸マイスター」の募集について、先日産業振興局の谷口時寛局長から報告された。これは… 研修などを通じて次代の人材の確保と育成、ものづくりの社会的認知度の向上を図った制度で、今年度も、機械金属・建設・食品・衣服・製靴・その他製造業、サービスの各分野で選出される。

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▲昨年の認定式
現在55業種から、農業のアグリマイスター6人を含む92人の方々が活躍。マイスターはゲストティーチャーとして、小学校や中学校での指導や研修会の講師活動などを通じ、神戸市の文化技術の向上に大きく貢献されている。

認定にあたっては、各分野から技術とは関係なく、永年協会や組合でお世話した人が順番に推薦されるなどということもなく、かなり立派に精査されている。審査には中小企業診断士による現地調査や聞き取り調査も含まれ、単に技術のみならず、リーダーシップや勤務態度、日常生活などにおいて、市民の模範になるにふさわしい人を、幅広く人格面も捉えている。

業界内での技術は素晴らしくとも、気分で人を殴ったり、バクチに溺れたり、町内で嫌われている人もいる。が、本当に高い技術を持つ人は、意外なほどに優しく丁寧な方が多い。例えば、この前お会いした方は、靴のマイスター。若い研究者を丁寧に、まずは礼儀から教え、育まれていた。私も料理人のはしくれ。こうした技術などの伝承の機微に触れると、嬉しくなる。

実はこの制度、神戸市が全国に先駆けて作ったらしい。笹山前市長自ら提案されたそうで、何やら技術者の笹山前市長の人格が政策に出ているようだと感じる。つい先日も、鹿児島県人会でお会いした。
「もし生まれ変わったら、また神戸市長をやりますか」
とお聞きすると、顔色を変え
「とんでもない。学校では1+1=2と習ったのに、あの世界は1+1が3にも4にもなるので、私の分野ではない」
という返事。本当に真面目な方だ。でも、そんな人格が、このマイスター制度の発足につながったのだろう。

良い政策ではないか。関係者は大変だろうが、うまく育てて行って欲しいと願っている。