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2009年 08月 06日 木曜日


▲スピーカーの説明を聞く
井野瀬久美恵甲南大学教授を講師に、文化村で学んだ一人、作曲・指揮・ヴァイオリン演奏で活躍した音楽家の貴志康一氏について深江文化村記念講演として9月6日午後2時から深江会館で行われる予定だが、主催の一人西土井敏さんが、講演を前に貴志康一氏の音楽を聴いておいて頂きたいとの思いに加え、同じ聴くならいい音でと、専務として勤務されていた兵庫区の富士通テンに井野瀬教授らを招かれた。

▲試聴中。音の美しさに、うっとり…

社内オーディオルームで音楽を聞かせて頂いたのだが、美しい…実に美しい。説明では「富士通テンはトヨタ等の車内オーディオをやっている。音にとっては劣悪な環境下の車内で、いかに音の持つ爽快感や癒し、その響きを正確に伝えるか ─ これを命題に技術を磨き、スピーカー“ECLIPSE”を生みだした」のだそうだ。もちろん、世界一と言う人もあれば、ダメと言う人もおられるのだろういが、熱心なオーディオファンの方であれば、それなりに一目は置いておられるのではないだろうか。世界的なレコーディングで活躍するクラウス・ヒーマン(バランス・エンジニア)、サイモン・オズポーン(レコーディング・エンジニア)、マイケル・ナイマン(ピアニスト)、ランディー・プレッカー(トランペッター)等、音楽業界でも一流の方々も、絶賛しておられるという。

深江会館の講演では、貴志康一氏の音楽を、このスピーカーで聞かせて頂けるらしい。本当に楽しみだ。試聴の後「ところで、このスピーカー、いくらですか?」と赤面しながら聞いた。答えは、一本35万円程度。さらにもっと小さなアンプとスピーカーの家庭用セットが11万円。世界一でこれは安く、良く売れていると言う。早速、井野瀬教授もお買い上げになったらしい。デザインも良く、飽きない商品。きっと神戸が生んだ名機になるだろうと思った。

思えば、1917年ロシア革命で亡命した指揮者メッテルやルーチン等、著名な音楽家が神戸の深江に移住してきた、その中でも、ウェクスラーに学んだ貴志康一氏、メッテルに学んだ朝比奈隆氏、ルーチンに学んだ大澤壽人等、また洋画家小磯良平氏など、近代文化の基礎がこの地で培われていたのだが、戦争によって壊滅した。幸い、わずかに残っていた当時をしのばせる洋館があり、地域でも研究を重ねてきたグループもあった。そうしたグループの方々の声から、記念プレートを建立することになり、来る9月6日の記念講演の運びに至ったのである。

講演の世話役の方々が、できるだけいい音色で聴いていただきたいとの思いから、音響メーカーを訪ねて視聴までも、というその熱意に、拍手を送りたい。きっと当日は、地域に秘められた「過去」から、深江の「未来」を見つめなおすターニングポイントとなるだろう。