事の発端は、とある東灘区民の方からの電話。「安井さんは、捨て猫のボランティアをしてるのですか?」との問い合わせで、10月20日のことだ。
私が「別にボランティアはしていませんが、捨て猫や、殺傷処分をできるだけ防ぐ為に頑張っています」と答えると、「2匹の子猫を捕まえて、今ミルクをやっているので、すぐ引き取りに来て下さい」と仰る。私は「引き取りは出来ませんが、ボランティアで里親を探したり、猫を保護して下さっている方がおられますので、連絡を取ります」とお答えして、電話をつないだ。
ところが、灘区のボランティアの方が多忙ですぐには行けないというので、私に取りに来るようにと仰る。私が「明日ならボランティアの方が行けるそうですので、一日待って下さい」と申し上げると、「ダメ」だと言う。「私は92才で、世話が出来ない」と仰るので、仕方なく、足立ボランティアとご自宅に伺った。
その瞬間、私は癒され、幸せになって欲しいと願った。灘区のボランティアさんの所に行くと、電話があって、「あの92才の方から『親猫も捕獲してくれ』と言われてた」というので、それまでには何とか都合のついていたそのボランティアさんと、捕獲機器を持って再び伺った。
到着し呼鈴を鳴らすと、インターホン越しに「カゴを玄関に置いておいて下さい」という。「親猫の捕獲に来ました」と告げると、件の92才の女性が出て来られて、何か言っておられ、ボランティアの方は笑顔で頭を下げている。私がもし脇にいたなら、きっとその方に、「貴女も捨て猫をお世話されるいい方ですが、ボランティアの方も、私も、貴女の使用人ではないのです。お互いに感謝の気持ちで行きましょう」と言ってしまうにきまっていると思った。そんな自分がイヤだから、私はそばへは行かず、現場からは外れていた。
親猫の捕獲に取り組まれること、40分。私と足立が表で待っていると、偶然、知り合いに合った。その方の話しによると「『六甲道の市会議員が猫を取りに来るらしい』と話していた」そうだ。私は、六甲道の議員にされていた。
帰路、私の車中で捕獲した親猫を抱いていたボランティアの方。身銭を切って、猫の命を守るため頭を下げておられる ─ 私と足立は、その、ほんの一部を、お手伝いしたに過ぎない。多くを学んだ一日だった。