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2014年 09月 26日 金曜日

産業港湾委員会で、私は大変な問題を提起した。それは、神戸市東部卸売市場青果組合から頂戴した、重要な資料に基づいて… 得た数字が発端だった。大阪の卸売市場の青果の物品が兵庫県に入って売買されている金額が、じつに700億円にものぼるというのである。兵庫県下のスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ホテルやレストランなどを通じて、大阪の青果が兵庫県に入り、兵庫県民が買っている ─ つまり、兵庫県民のお金が大阪へ流れている。これが、一年間で700億円である。

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そこで、9月22日の同委員会でこの資料を提示した上で、「神戸からはどれくらいか」を質してみると、産業港湾局の職員の方がわざわざ大阪に行って調査した結果、「約50億円である」との答弁だった。差し引き650億円の赤字である。

では、そもそもなぜ、こんな状況になったのか。東部市場の仲卸さんは、「商品の量と種類が揃いにくいので、どうしてもバイヤーが大阪で買う」と主張される。それに対して中央卸売市場運営本部の植田茂夫本部長は「卸の皆さんは、品物は揃っていると言っている」と卸を代弁した。しかし、スーパーマーケットやホテル等へのアンケート結果では「神戸では品が揃わないと答えている」という。

私は、「どちらが本当か分からないが、神戸市に50億円以上の青果が入って来ているのは、事実である」と主張した。さらに、「この数字も氷山の一角で、実は正式なルートではなく、グレーゾーンといわれる市場外取引で入っている量は、その何倍もになっている。その点が、大問題である」とも指摘。その上で、その数字を調査するよう要求したが、「大変難しい」と答弁されたので、「しかし、その数が例え凡そでも出ないと、こんなに複雑化した流通に対し、政策が立てられないのではないか」と質したのだが、さて、実際問題、この大阪卸売市場に食い荒らされる神戸市場をどう防ぐか。

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一つの対策は、東部市場の青果組合から、斜め取引き ─ つまり、神戸中央卸売市場の仲卸の方が東部市場で買えて、又、東部市場の仲卸の方も中央卸売市場で買えるという、相互乗り入れができるようにする政策である。それによって、多くの種類の商品を手に入れられるようになるという。この政策は「法律によって規制されているが、手続きをすれば合法的になる」と、植田産業振興局中央卸売市場運営本部長は答え、さらに「その政策よりも、現在力を入れている共同集荷を進めていきたい」と反論された。

確かに、共同集荷は両市場の荷を東部・本部間で送り合い、不足する荷を補完する。それも、この方法を実行するにあたっては、前局長の谷口氏が苦労して卸会社を説得し、ようやく前に進んだのだった。これには卸会社も、大きな負担を負いながら協力してくれている。私は、その苦労には感謝申し上げるし、さらに進めて頂かねばならないとは思う。しかしながら、私には、それらの政策が大きな効力を発揮するとは思えないのだ。なぜなら、この問題は、宮崎市長以来この流通について、政策上まるっきりの無策で来た結果なのだ。

何もしなかった事が原因で、例え神戸市に多くのスーパーマーケットやホテルが建ったとしても、青果物品を少なくとも何%は東部市場や本場で買うよう義務づけや誓約をさせるといったような、何らかの手もうたず、大阪のバイヤーが大阪の市場で大量購入したものを、神戸の市場へ好き放題に流されて来たのである。

私は、このシステムを変える方法を考えるべきだと思っている。法的には難しいのかも知れないが、例えば、神戸の東部や本場で青果を買って下されば、税の削減や補助金をつけるというように、何かインセンティブがあれば、話は違ってくる。いろいろな面で大変難しいが、何か手を打たないと、尼崎の卸売市場がつぶれたように、次に東部や本場も大阪の市場につぶされる事になるのではないかと危惧しているのである。

さらに、市と業界と議会が力を合わせて営業活動を強力に進める事も、必要だろう。だから私は、「大阪の為の手足となってしまっていて、神戸の消費者は大阪の手中に落ちている今は、決して、内部で競う時ではない。今こそ、業界と市と議会が一体となって、大阪に対抗する時である。協調して、知恵を出していく時なのである」と、強く主張したのだ。もう、無策は終わりにせねばならないのである。
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