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2010年 03月 21日 日曜日

”神戸自殺総合対策拡大会議”については先日お伝えしたが、その神戸市医師会主催の会議が3月20日、医師会館で開かれた。神戸市からは中村三郎副市長も出席。国立精神・神経センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター長の竹島正先生が「自殺対策の視点」と題して、約50分の基調講演。

自殺の定義とは… 外因死のうちの「その他及び負傷の外因死」「死亡者自身の故意の行為に基づく死亡で、手段・方法を問わない」こと。その死が今、ピークに達している。前回のピークは1986年。その前は1958年だから、20年周期でピークが来ているのだが、今回は最悪で、神戸では一日一人の割合。


▲シンポジウムでのディスカッション
今までは、自殺と完全失業率は強く相関していた。ゆえに、自殺を経済問題ととらえ、経済対策によって救われるとした考えが支配的だった。このため対策が遅れてしまっていたのだが、実は自殺者の90%が、何らかの精神的疾病を持つ人だった事が分かってきた。しかもこの疾病の75%が「うつ病」である。男性では、特に夫婦の離別者で無職の人が最も多い。人間関係が切れてしまい、孤立している人 ─ つまり、追いつめられた結果、精神疾患を患ってしまうのだそうだ。これは男女とも同じで、その年齢層が年々若年化している事も、問題である。

年齢別の自殺の主な原因で、39歳まででは家庭問題・人間関係等が多数あるが、60代からはやはり孤立ある。地域別では、以前は大都市が多かったが、近年地方に移っているそうだ。自殺者のうち75%が、何らかの病院で医師と会っていたので、その医師が自殺の発信音を受けて、精神科の医師と連携して対応する必要がある。それも、バトンタッチではなく、チームとして連携しなくてはならない。

パネラーから「今回来ている議員さんにお伺いするが、自殺予防にどれだけの予算が組まれ、特に教育を通じてどう使われているのか」との問いがあった。私は
「今は分からないが、調べてみる。私は仕事上よく卒業式や卒園式に出席するが、校長や園長は交通事故やイジメについては注意するものの、自殺するな、命を捨てる前に相談してとか、自殺はいけない事だといったスピーチはしない。つまり、教育者も私も自殺について、学んでいないので、予算が有効に使われてはいないと思う」
と答えた。

交通事故死の6倍にもなっている今、まさに自殺戦争である。すべての人々が、この問題を考えねばならない。そのスタートとして今回私がこの会議、講演で学んだことは、あまりに多く、重い。