Skip to main content.

2022年 09月 02日 金曜日

沖縄県には、観光だけの産業から脱するための主力産業の種付けが… もっと必要なのではないのか。そう感じたのは、所属する経済港湾委員会の行政調査で、先日、沖縄の沖縄市東部開発計画と、沖縄アリーナを視察した時だ。

東部開発計画には「『スポーツ』『健康・医療』『交流』をコンセプトにした、海に囲まれた緑豊かな環境の中で、県民や市民、観光客の交流・健康づくりを行なえる空間を創出する」とうたわれている。平たく言えば、埋立工事を行なって六甲アイランドのような95haの人工島をつくり、そこに900mの人工ビーチや商業・宿泊施設などを配する、約1000億円をかけた巨大プロジェクトだ。2018年から工事に入り、2029年の完成を目指している。

マリーナや栽培漁業施設なども計画に含まれているが、建設費の90%が国からのお金である。もちろん県からも支出されるが、その県にも国からお金が出ているから、ほぼ国頼りの計画だ。

写真
次に向かった沖縄アリーナも、立派なもの。約一万人収容の規模で、主にバスケットやコンサートに使用される。こちらは既に完成していて、我々が行った時には、世界大会の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」のアジア地区予選を翌日に控え、準備中であった。

しかし、これまた国のお金で建設されている。施設沿革には「防衛省所管の再編推進事業補助金、内閣府所管の沖縄振興特定事業推進費補助金等を活用し、令和3年2月26日、竣工致しました」とある。約126億円の予算のうち、30億円が市で、残りが県である。

我彼を比べるとその規模が分かりやすいかと思うが、沖縄市の人口はわずか15万人で、東灘区の人口は21万人である。持ちこたえられるだろうかと訊くと、市の管理委託事業だそうで、よほどうまく運営しないと大変だな、と心配してしまった。

神戸市も、水域活用を目的として、2024年には中突堤に同規模のアリーナを開業する予定だ。もっともこちらは民間によって建設されるし、関西経済の中で支えることが出来るだろう。だが、それでも色々な工夫が必要で、既存の周辺施設も巻き込んで、人々で賑わい、憩い、くつろげる空間を創り出そうと頑張っている。それを思うと、今の日本の中で模索している沖縄に同情したくなった。

おりしも、あと数日で新知事が誕生するかという、沖縄県知事選挙の告示の最中に訪れたのだが、地元紙は現職の玉城デニー知事が圧勝するだろうと報じていた。沖縄県に対するアメとムチの国策は、いつまで続くのか。アメの部分が完成されたのを目の当たりにしたわけだが、なぜか羨ましいといった感情はわかず、むしろ悲しいとか、心配の色が強い。

私は、沖縄がアメリカ合衆国の統治下にあった頃から幾度か訪れ、「OKINAWA」が「沖縄」になる経過をリアルタイムで見てきた。それだけに、米軍基地を抱えるだけではない問題が沖縄にあるのではないかと、考えてしまったのだった。
写真
写真