Skip to main content.

2015年 10月 13日 火曜日

私は、野党も好きだし、野党が果たす役割も大きいと思っている。私と彼は生涯席を並べて与する政治家にはならないだろうが… 議員としての彼は、素晴らしいのだ。

今回の決算特別委員会 第三分科会の審議は、10月7日に行われた消防局の審査をもって終わった。

写真
会期中ずっと隣にいた安達団長とは、時々話し込んだ。団長で忙しい中にあって、出来るだけ着席しておこうとする姿勢は、若い議員に見習って欲しいものだ。中には、議員になってまだ半年だというのに、平気で長時間席を空けている者がいる。人間だから、急用もあるだろう。私のように、お手洗いが近い者もいるが、年寄りのグチと思って、聞いて欲しい。

そんな議会に、32年間ずっと野党で、ここ20年はずっと一人〜三人の会派ながら、頑張っている議員がいる。この議員が、消防局審査の中で防災ヘリコプターについて、今はなんとか正常に活躍しているが、3〜4年先はパイロットと整備員の補充が大変だと指摘して、「この対策をどう考えているのか」と質した。

当局は、「確かに定年の問題もあるが、人員不足は全国的な問題であり、これから対策を考えていく」と答えた。これを受けてその議員は「他都市では、消防局の中からパイロットの希望者を育てている例もある」と質したが、当局は「育成するのに、一人3,000万円も必要である」と答えた。まったく、呆れた問答である。

私は、委員会が終わってからその議員に、ポートアイランドの民間企業を念頭に「あれは自衛隊に、強力かつ親密な連絡を取ってお願いすればいいし、整備は民間に頼めばいいよ」と言った。返事は、「それは分かって行っている。でも安井さん、私の口からそれは言えないだろう」だった。

確かに、彼は長い間「反自衛隊」で来ている。だから彼は、暗に市をその方向に追い込んで行っているのだ。私は再び、この男の良さを知った。もともと私は、この議員に着目して来たし、よく意見も合い、気もあった。他の野党のように、本会議場でヒステリックになったり、票稼ぎのためのアジ演説やスタンドプレーもしない。いつも論理的で、ニコニコしながら要領よく質問していて、私には勉強になる。

神戸空港建設では、テレビカメラの前で暴れるような事もなく、経済面・空域面・環境面のそれぞれから論説をはっていた。当時の局長も、振り返って「勉強になった」と私に語っていたものだ。

私の議長時代、議会基本条例をつくった際には、よく理解して、応援もしてくれた。あの条例は当局対議会の条例なのに、野党にも与党にも、それが理解できず、党利党略を主張する議員がいた。二人で、よくその事について語りあったものだった。

足立ボランティアのご長男が、某一部上場企業でパワハラにあったと相談すると、「足立さんの事なら、九州でも北海道でも、若い者を連れて乗り込む」とも言ってくれた。

かつて、安保闘争の時代に青春を送った私の眼には、彼にはまだその頃の初々しさがあるように映る。「私の兄貴は、福井の空港長だった」と、ニコリと笑う彼には、老いた万年野党としての凄味と、それを裏打ちする卓抜した理解力がある。決して、本会議場で市長に手玉に取られるような野党ではない。これからもお互いに、議会人として公正な立場を持って、向き合って行くつもりである。
写真