9月6日の、午前9時。雨だったが、役員の配慮で、体育館での開会式となった。東灘区27チームが揃ったところでの私の挨拶は、いつも決まっている。まず、ボランティアで子供達を育てて下さっている監督とコーチや保護者の皆様への感謝と、大会の社会的な価値について述べる。
そして
「この人々は全部自腹で、大切な土・日の時間を子供達に捧げている。行政は、もっと気をくばって欲しいと思っている。民生委員の方や保護司の方々は、天皇陛下から皇居に呼ばれるが、この町のおじさん方には、何も無い。しかし、子供の親からのクレームに対応し、夏の熱中症からも子供を守りながら、練習に励む。子供と接する前日は、お酒も控えるという具合で、まさに、子供達の教育の一環を担っておられる。確かに、彼らは教育のプロではない。しかし、社会人として、生きる術を教育者より知っている。私は、いつもその事に誇りを持って欲しいと思っている」と続ける。
この日はさらに、
「寝屋川の中学一年生の男女の子供が惨殺された事件があったが、もしこの二人が少年野球に入っていたら、あんな事はなかったと思う」
とも訴えた。
この、東灘署長杯。ある方がかつて、「有田警察署長のお陰で、生きて行く道が開けた」と仰っていたが、東灘区の人々が懸命に呼び掛けられて、創立された。決して警察のPRではなく、子供達と警察官の心のつながりを築くものだと思っている。
黒田署長は挨拶の中で、「自転車に気をつけて」とやさしく語っておられた。外は雨だったが、体育館の中には、思いやりと善意が満ちていたのだった。