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2015年 07月 28日 火曜日

「市長への手紙」の返信には、「引き続いてこの件は検討します」とあった。けれど、一般市民には、それは何もしないと映るのだろう。本当に… 難しいものだなぁと痛感したのは、友人の新井廣郎さんから、HAT神戸にある市営住宅のムクドリの被害についてご相談があったから。新井さんは現在、その市営住宅にお住まいなのだが、自宅のベランダも、並びのお宅のベランダも、ムクドリの糞だらけで足の踏み場もない有様。ベランダの屋根からムクドリが休めるようなハリがめぐらされていて、そのハリにムクドリが沢山とまるのである。

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▲ ベランダの糞害
灘区の地元商店街のお世話や、鹿児島県人会のお世話等をされているような、人様のお世話を良くして下さる人気者の御夫婦なのだが、その御夫婦が本当に困りきっておられる。というのも、この件で神戸市住宅都市局に訴えても、返答は決まって「指定管理会社に言ってくれ」。指定管理会社は手は打ってくれるものの、有効打はなく、聞き置くだけで何もしない。たまらず「市長への手紙」で訴えもしたが、「指定管理者に言って下さい」と、たらい回しに遭った。

そこで新井さん、全国で同じ被害で悩む住宅や商店街をお調べになり、ある方法を提案してみられた。それは、ムクドリがとまらないよう、屋根にネットを張るという、単純にして完璧な方法である。だが、それを指定管理会社に提案してもダメだったので、私の出番となった次第。

私は、新井さんが動きだして2年も経っている事から、多分、住宅都市局は十分承知しているだろうと踏んで、上から行くしかないと判断。トップの長谷川局長に、直接陳情する事にした。

陳情当日は、困っている住民の人々が一緒に来られ、状況を訴えられた。新井さんも切々と訴えられ、結果、長谷川局長は「ムクドリは保護鳥で駆除も出来ないので、全国の政令市も各施設も大変困っている。さりとてこのまま放置する事も出来ないので、この9〜10月に行われるこの市営住宅のリニューアルの機会に、新井さんの提案の方法でやって行く事を、専門家も入れて検討してみたい」と、明快な答え。これには、全員ホッと一安心した。

新井さんは、ここまで来るのに各地のムクドリ撃退方法を見て歩かれたという。この方法に確信を持たれたのは、阪神魚崎駅のネット作戦だったと、写真を示された。よく努力し研究して下さっていたのも、市を動かす力になったのだ。

それにしても、この市営住宅、神戸市の誇る物で、HATは"Happy Active Town"の頭文字をとったもの。トータルデザインは、なんと日本で超有名、今新国立競技場で話題の、あの建築家安藤忠雄さんだ。デザインを重視するばかりに、ベランダの屋根にハリをつけられたのだろうが、まさかムクドリまでハッピーなとまり場になるとは…。設計とは、そして、市長の手紙とその返事も…いろいろ、本当に難しいものだ。
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