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2015年 03月 20日 金曜日

阪神元町駅の高架下にある有楽名店会という商店街からの陳情が注目されたのは、3月18日の… 10時から開かれた、産業港湾委員会。阪神電鉄から閉鎖のために退去させられる羽目になり、困った名店会の店主の方々が、「閉鎖を中止するよう、神戸市から申し入れして欲しい」というのである。

その有楽名店街、なんと昭和22年に出来上がったそうだ。今も、レトロ調の一風さびれた飲み屋街のままで、昔のなつかしい映画のポスターが張られていたりする。私も大好きな通りで、元町に出た時には、必ず歩いてみる。戦後の苦しい生活の中で、日本人がお隣と仲良く醤油や塩・砂糖を借りたり貸したり、助け合って頑張っていた時代の日本人を思い出させるような、ノスタルジーに浸れる通りなのである。その有楽名店街を、阪神電鉄は潰すというのだ。

訴える手段の乏しい有楽名店会事務局の松本 篤さんが、私達に
「阪神電鉄との契約が一年間の毎年の契約で、阪神電鉄側の言い分でいつでも退去せねばならない契約だったとは知らず、そんな説明もなかった。私達が無知だったので、仕方がないのかも知れません。しかし、閉鎖は防災上・防火上の理由からです。私達は、防火については十分に注意しています」
と、切々と訴えられた。この人々は、どの議員に頼っているのでもなく、どの政党が指導しているのでもない。私は、胸を衝かれた。

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当局からは、
「この神戸の観光の名所ともいうべき、昭和のレトロな雰囲気を残す有楽名店街がなくなるのは残念であり、惜しい。何とかならないかと思うが、2013年1月の阪神御影駅東部高架下飲食店火災により4,000人に影響があり、火元の商店に損害賠償請求を協議中である等、閉鎖したい阪神電鉄の立場も十分理解できる。しかも、この商店街の建物は、店舗の区切りも木製で、コンクリートでないなど、既存不適格である」
と説明された。

私を始め何人かの議員が、局長が阪神側についている説明と受け取った。私は、局長が本当に有楽名店街を大切に思うなら、受け皿を用意するよう阪神電鉄さんにお願いしたり、他の存続方法がないか探って上げてはどうか。なぜ、そうした気持ちがないのか。有楽名店街の歴史を考えてあげるべきではないのか、と思った。

閉鎖によって、何十人という人と、その大勢の家族が行き場を失う。産業振興局は、市民を守るためにあって欲しい。勿論、資本主義社会にあって、あの一等地を有効利用したい阪神電鉄さんの気持ちは理解できるし、防火を心配する会社としての責任上の立場も分かる。しかし、そんな所は他にも沢山あるし、そもそも、今まで家主として放置して来た、その責任はどこにあるというのか。

私は、この件は、もし法廷闘争になった時に議会が中立である事を証明するために、審議打ち切りとした。これが、私の精一杯の、有楽名店会へのエールだ。阪神電鉄さんに対しても、十分の理解をしたと解して欲しい。
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