▲皆で乾杯
大村崑さんとは15年ぶり、吉本晴彦さんとは6年ぶり。再会を4人で喜びあった。
特に、吉本晴彦さんとは永いお付き合いで、私の娘の結婚式にも出て頂いたほど。決してえらぶらず、いつもニコニコしておられる吉本さんとの出会いは、確か岡本の梅林公園を造る時。運動に共に力を注いだ縁で、親しくなった。
ドケチに必要な資格は、ユーモアを持ち合わせている事。それは例えば、やられた後でイヤミ無く「ヤラレタ!」と言って笑える事である。ドケチとシブチンの違いは、シブチンはお金を出さなくてはならない時に出さない人 ─ これは人に嫌われる。だから、楽しみながらやるのがドケチであるとお教え下さった。私がズバリ「ドケチ教の跡取りは決まりましたか」と聞くと「なかなかいいのがいない。私一代で終わりだよ、ドケチだから」と言って、笑われた。私は、吉本さんの前に座ってお世話のまねごとをしたが、食べるわ、食べるわ。私の倍は召し上がっただろう。御歳、86歳である。うれしかった。こんな紳士が、元気で居て下さる。今も五千歩歩くのを心掛けていると仰る吉本さん、健康を考え、10時15分には退席された。
▲本当にお元気!
一方の大村崑さんもむろん、お若い。島田紳助さんから長島茂雄さんやみのもんたさん等、広いお付き合いを話題に、楽しませてくださった。島田紳助さんは頭の良い人で礼儀正しく、よく稼いでいるいい男だと、褒めておられた。
みのもんたさんが来阪されると、大村崑さんを呼び出してはクラブを何軒もはしごされるそうだ。店のテーブルを巡って話し、店中を彼のファンにするほど魅力ある男だそうだ。私が「みのもんたさんはあまり好きではないが、島田紳助さんは好きだ」と言うと「人それぞれだから」と大村さん。自らは、決して人の悪口を言わない。そんな大村さんの口から「お笑いの仲間のアチャコ(花菱アチャコさん)・バンジュン(伴淳三郎さん)・ささやん・雁之助(芦屋雁之助さん)は皆死んでしまった」と、ふと言葉が漏れた。「皆、ムチャした人生だったから…。私は酒を飲まないし(ビールをコップに1杯だけ)、タバコも40年前に辞めた。19歳の時に片肺になっているので、健康に気を付けている。体は大切だ」と、しみじみ。「家内が1年のうち3ヶ月間もイタリアに歌の勉強に行っている」と言い出すと、堰を切ったように、話の中に家内という言葉が幾度も出てきだした。「仲がおよろしいんですね」と言うと「ウン」と、子供のような笑顔で頷き返された。
そんな大村さんの話の中でも我が意を得たのは「今の笑いは下品で心が無い」と切り捨てられたときだ。
「チャップリンにしても、藤山寛美にしても、エンタツ-アチャコにしても、昔の笑いには、愛と人間の情愛が底辺にあって、笑いの後にうなずくものがあった」と。
私もそう思う。大村さんは「笑いこそが人生で、笑いのない人間は成功しない」とも仰った。ここに多くは書けないが、いろいろな事を教わった。いつか機会があればもっと逸話をご紹介したいと思う。会が解散するまで3時間半、76歳の大村さんは笑いと納得で我々を圧倒し尽くされた。なんと、まぁ…「参りました」。