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2014年 10月 01日 水曜日

神戸市民を守るためには、行政も議会も両輪の輪となって活躍するべきであると常々言い続けてきた私は、議会人として、関西広域連合を始め、あらゆる所でこの、ダイオキシン問題について訴えて来た。つまるところ… 神戸市をダイオキシンによる水質、大気等の風評被害から守るために、この高島市のおかした犯罪とも言うべき行為は、その風評が被害を起こす大きなニアミスであって、その事を苦い経験として十分に周知徹底させることが再犯を防ぐことであると信じて、議員として発言を続けて来たのだ。

その総集編ともなる場、決算特別委員会第2分科会が、去る9月29日に開かれ、私は環境局の質疑に立った。環境局が市民のために果たしている重要な役割も十分果たしているし、東部環境の人々も大変良くやって下さっていて敬意を表している。しかし、なんと例の滋賀県高島市のダイオキシンを神戸沖のフェニックスに投棄していた件では、環境局の姿が見えなかったのだ。
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我が神戸市の環境局は、市民を守るためにこの件で何を発信し、どんな行動を取ったのだろうか。少なくとも、私には報告も協力も無く、いったいどちらの味方かと思わせる程であったのだ。そこで、私がそれを質すと、大森局長は
「決してそうでは無く、フェニックスに対しても強力に再度このような事のないよう、強力に申し入れをしてきた。議員に対して報告をしなかった点はお詫びをしたい。さらに市民の目に私達の行動が見えなかった点について、今後とも注意をいたします」
と述べた。

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続いて、何故神戸市は高島市を告発しなかったのか。大阪府も滋賀県も検討をした上で思いとどまった、その理由について質した。大森局長は、
「高島市がただちにフェニックスに搬入を止めた事。大気、水質とも調査の結果基準以下であった事。又、第三者委員会を開くと宣言した事。さらに法的に困難な事が理由である」
と答えた。

さらに、9月22日に高島市環境センターダイオキシン類濃度の基準超過について、第三者調査員会の会長、吉原福全 立命館大学工学部教授から中間報告が出されたが、そこには、重大な事がいくつか示されているので、それについて質した。

一つは、「関係者の法令遵守と危機管理意識の欠如が今回の事態の発生の原因の一つであるが、一般の地方中小都市が抱える限られた予算の制約の中では、高島市以外の地方都市でも今回と同様な事態が起きる潜在的なポテンシャルが懸念される」という警告。つまり、今後も起こりうるとされているのだ。実に、恐ろしい事である。

そこで、
「それならば、私が主張する県の指導監督義務が法的に確立しているのであるから、その責任が大きいのではないか」
と質した。これに対して局長は
「確かに県の指導監督義務があり、今後とも県か強力に指導監督する必要がある」
と、この件だけは私の意見を認めた。もっとも、それは当り前で、これは法律で決まっているのである。

次に、
「高島市は、この件に対する処分を発表した。法令遵守意識が欠如したとして、8人を懲戒処分。その他16人を文書訓告。5人を口頭訓告にした。また、高島市の福井正明市長も、1カ月だけ減給30%とした。しかし、県の職員の処分は今まで無しである。なんという事か。前滋賀県知事の嘉田氏も、新しい三日月知事も落度を認め、何回もお詫びしておきながら、処分無しではまるでトカゲの尻尾切りではないか」
と質し、この件について局長はどう思うのかと聞いた。

しかし、大森局長は、私の質問に対して意見を出さない。「自分は任命権者ではない」と言うのである。私は、この件で最も発言すべき立場の局が、滋賀県に対し要望等をするのは当たり前だと思う。局長は、私が関西広域連合で処分の件を聞いた中で、三日月知事が報告書を見て考えると発言したのだから、神戸市が要求しなくても、自らするだろうという見通しで答弁しなかったのかも知れない。だが、神戸市の怒り、意志を示しておく必要がある。この点、やはり役人はお互いにゆずりあって傷をなめあって行くのか、と思ってしまった。

私は、この事件を高島市の市民はどう思っているのか、どれ程の話題になっているのかと、常々気になっていた。勿論、高島市の市民の皆さんに責任はないのだが、苦痛を受けた神戸市民の事も、少しは思いやって欲しいと思っていたのだ。そこで実は、思い立って議会に先立つ土曜日、9月27日に高島市を車で訪ねてみた。

美しく、のどかな市である。琵琶湖に面し、田んぼや畑の中に多少の商業施設、民家や農家のある、琵琶湖周航の歌を生んだ町である。琵琶湖・神戸間をドライブしながら目に映った景色に、「この美しい都市に住む人々と神戸市が、これを縁に環境をテーマに結ばれれば良い」とも思ったほどだ。到着後、市役所の隣の公民館に入って、いろいろ聞いてみると共に、それらしい発行物を集めた。

頂戴した発行物の中には、高島市に家を新築をした人には200万円。中古住宅に住んだ人には100万円の助成をしますとあった。「高島で暮らそう! おいでよ高島」─ 全国的に深刻な人口減への対策なのだろう。心から成功を祈りつつ、キラキラ光る琵琶湖の水面を脇目に、湖西を走ったのだが、神戸新聞では報じられなかった、そこにあった新しい発見は、高島市の市議会議員全員20人が、この件で10月分の給料の10%のカットをしようとしている事だった。

私が「この件は、町では話題になっていますか?」と職員に聞くと、大変親切な方だったが「大変な話題になっています」と仰る。。5万人の人口の都市に起きた大きな問題の一つであったのだろう、報告書にも、議会がチェック機能を果たさなかったと指摘されていた。高島市議会は、少なくともその責任の一端を果たして下さった。それは、金額や期間の問題ではなく、責任を感じてくださった事だ。素直に敬意を持ちたいと思う。

一方で、それにしても、である。滋賀県は未だに、この件は報告をしなかった市の責任で、県はむしろ被害者と思っているのが不思議でならない。政令都市を持たない県の意識は、市や町や村をまとめて県へ繋ぐ、中二階の役目なのだろうか。それでは、地方都市はたまったものでない。確かに、これは「また起こりうる問題」なのである。
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