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2014年 09月 19日 金曜日

役人同士がこれ程かばい合うなら、いっそ、私が告発者になって、警察に行こうと密かに考え… 大変悩んでいた。それは、他でもない、フェニックスにおけるダイオキシン問題である。

このブログでも書いてきたように、私は、関西広域連合議会で追求を続けた。しかし、結果はどうだろう。高島市を刑事告発する、県も市も無かった。最高責任者の滋賀県も、原因者である高島市を告発しなかった。

私の追求に、告発を検討するところまでは行ったが、嘉田前知事も新しい三日月知事も「告発しない」と、本会議という公的な場で発表した。その上、神戸市も大阪市も芦屋も尼崎も、あらゆる行政機関が告発しないのである。

実は、私は追求しながらも、きっとそうなると予想していた。それでもなぜ、この問題についてこだわり続けるのか ─ 私は、3つの視点を持っている。

  1. 神戸はかつて何回かに渡って風評被害に遭い、大きな経済的損失を被った。

  2. これは、仮に民間人が起こしたら、すぐ逮捕される事件である。しかも、行政が行政を騙した確信犯である。にもかかわらず、役人同士はいたわり合って、誰も責任を取らない。

  3. もし、厳重な処置をしなければ、今後フェニックスは不法投棄の無法地帯になる恐れがある。


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▲ 広域連合議会で、
厳重な処分を迫った
私は、先の滋賀県で行われた広域連合議会の環境委員会でも、かつて行政が行政を告発した事は無かっただけに、心の中で「どうせ告訴はしないだろうな」と思いつつ、三日月知事に「厳重な処分をするべきだ」と主張した。

そして実は、きっとそうなると思ったその時から、心の中で葛藤が始まっていた。私自らが告発者として警察に行ったら、どうだろうか、と。実際、警察にも、私が告発するとは言わずに、他人事として相談に行くなどしたところ、十分な手応えがあった。信頼する法律関係者にも相談して、集めた新聞記事だけでも十分に告発できるとの確信を得ていた。

ところが、私の信頼する神戸市幹部に、「なぜ神戸市は告発しないのか」と聞くと、「行政は行政を告発しませんよ。空手でいう、寸止めの方が効く事があるのです」という。この一言が、私の心を打った。なる程、私が告発すれば、必ず役人の誰かが刑事罰を受け、退職金も無くなる可能性が大きい。そうまでして、何が得られるだろうか。

その人も、上から言われて仕方なくやったのかもしれない。きっと、メディアだって来るだろう。「そうまでして、安井はスタンドプレーをしたいのか」との批判も起き得る。ある法律家からは、「安井議員は、武士の情けのある議員であると思っていたのに、冷たい人だったと思われるよ」とまで言われた。ボランティアの足立さんには、「次の選挙に勝っても、役人はそっぽ向くよ!」と止められた。

私の政治活動の大きな課題は、役人根性への挑戦だった。だから、ずっと悩んでいた。しかし、私は確かに、今までも寸止めして、相手に逃げ道を与えて来たし、それでも十分な効果があった。考えあぐねた末に、今回も寸止めになると読んで、私は、告訴は思いとどまろうと決心した。

だが、こう決意したからにはなおのこと、三日月知事には、できるだけ早いうちの、厳重な処分と処置をお願いしたい。フェニックスから1.3kmの所に住む1万4千人の人々の不安と、瀬戸内漁業の風評被害を起こす危険性が高かったこの事件に、しっかり、きちんとけじめをつけて欲しい。

発表が遅れた事について、「密かにもみ消そうとしていたのか」という私の追求に、嘉田前知事は、「私が知ったのは、直前の6月でした」と答えたが、私に訴えていたあの無念の表情は、実は、私にではなくて、滋賀県の組織に向けたものだったのだろうと思う。
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▲ 無念の表情だった嘉田前知事

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▲ 自ら「その通り」と答えた三日月知事
今、私は、三日月知事に期待している。それは、私の「相手の立場になって考えるべき」という発言に、真っ先に手を挙げて、自ら「その通りで、その事が大切」と、同意されたからだ。ある方が、「もし、安井議員がこの問題をここまでやらなかったら、そのままになっていたかも知れませんね」と仰った。私は、嬉しかったのと同時に、いまがまさに、その寸止めの時なのだと思った。

どうか、三日月知事。このブログを読んで、あなたの民間人の感性で、指導力を発揮して欲しい。と、ある高島市の女性市議は、「私たちの町の声が大変迷惑を掛けて、申し訳ありません」と、ファクスを送ってこられた。私は、それに心打たれた。現地は現地で、苦しんでおられるのだ。もういい、もういい……今は、そう思う。