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2014年 09月 09日 火曜日

「すべての人が『動物は命あるもの』であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています」─ これは… 平成11年12月に名称が変わり、平成25年9月1日に施行された最新の「動物の愛護及び管理に関する法律」の概要の冒頭にもある、基本原則である。

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▲ やってきた二頭
どうしてこのような話をするかと言えば、猫の避妊が重大な課題だから、だ。実は、三ヶ月前、私の事務所のボランティア、足立真澄さんが、猫のよろずボランティアをやっておいでの水谷みゆきさんから、生後2ヶ月のオスメス2匹を頂いてきた。さっそく、パン君とネネちゃんと名付けて飼うようになった。

本当に可愛くて、いつも一緒に遊んでいる二頭だったが、その水谷さんから「そろそろ避妊手術をしておかないと」と、電話がかかってきた。「先ずは食事と水を与えてから…」と、細かい指示もいただいた。早速、パン君とネネちゃんを連れて水谷さんにお預けしようと出向いたのは、灘区の福住通5丁目。夫妻が営んでおいでのすてきなレストランで、笑顔でお迎え下さった。

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▲里親が決まって嬉しそうな
水谷さんと足立さん
水谷さんからは、色々学んだ。水谷さんは、色々な方から野良猫の苦情がある都度、現地に行っては相談に乗り、時には捕獲し、慣らして飼って下さる里親を一生懸命探される。ある時は、捨てられたり、猫の持ち主が様々な理由から保健所に持って行くなどして、殺処分になる予定の猫を助けてもおいでである。そんな彼女の願いは、「野良猫をゼロにする事・殺処分される猫をゼロにする事」だと仰る。

彼女の言葉の一つ一つに、命への愛がある。決して丁寧な言葉遣いではないが、「もの言わぬ無力な命・人間のわがままで殺される命」を救おうという気迫を感じずにはいられない。飾らない容姿で、とってつけたような行動も一切無く、優しさと童心がそのまま、といった印象だ。私が、「何故こんなボランティアを始めたのですか」と尋ねると、「10年前に、近所で野良猫が増えて困っていた。捕まえて、市に渡すと殺される。困って市に相談に行ったところ、『神戸市地域猫モデル地区制度があって、地域指定を受けると、年間4万円の助成額が出て、猫の避妊に当てたり、保護に当てたりできる』と教わった」のがきっかけだそうだ。

彼女はすぐに自治会の協力をとりつけ、モデル地区指定に成功した。かくて、野良猫の哀れな運命を知る事になって以来、人から持ち込まれたり、捕獲した猫の避妊手術を、自腹を切ってやり続けている。その金額たるや、何百万円はゆうに超えている。彼女は、自ずとどの獣医さんが安く、技術も良いか、よく知ることになったのである。

しかも、このような行政の手の届かない仕事をやって下さっているボランティアの方々が、神戸市にはたくさんおられるという。有難い事である。ある方々は、猫ネットを作っておられると教えられた。私も少しは知っていたが、出来れば、全てのボランティアの人々が一体となるか、または各サークルでも個人でも、神戸市から平等に補助金を出し、運動を支える必要があると思う。

現在の神戸市の制度では、市民が野良猫を捕らえて避妊手術をした際、オスは3000円、メスは7000円をその市民が負担するよういになっている。これは、猫の避妊にあたり、オスは1万円、メスは2万1500円の料金を想定し、不足分を神戸市と獣医師会で負担し、皆で野良猫を無くしていこうという考え方に基づくようだ。ただし、今のところは年間120匹までと定められている一方、現実にはそんな頭数では到底間に合わないから、水谷さんのように、ボランティアの人々の自腹に頼る結果となっている。

市も今後、制度を見直すべく、他都市の事例も研究もしている。現在は、市長政策会議に掛けて、議会とも相談し、新しい政策を決定するべく知恵を絞ってくれているようだが、ここで大切なのは、補助金は税金である以上、効果的に公平に出すべきだ、という点である。水谷さんのように1人でやっておられる方もあれば、2〜3人でやってくださっている方もある。グループにも、学校のグループや、職場のグループなど、色々あるのを意識して欲しい。

冒頭に紹介した「動物の愛護及び管理に関する法律」の冒頭の一文に、私も同感である。水谷さんが仰るように、野良猫ゼロ・殺処分猫ゼロが、神戸でも実現するよう願っている。