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2014年 06月 04日 水曜日

我々の視察のような小さく地味な努力も、いつかは実って、地方都市が外交を始めるのに… つながって行く。そうあって欲しいという思いを一際強く抱いた、今回の視察行。医療のトップのウシャコーワ会長との会議中、ロシアとの産業交流について、2人の人物の紹介を受けた。

資料写真
1人は、プーチン首相とも繋がる実業家の、イゴリ・トカチ氏。若くいきいきとして、これからの人物と拝見した。彼が提示した沢山の資料は、彼の所有の雄大な土地に、神戸の医療産業を誘致したいという具体的な提案を示した、モスクワ市内の約9万坪(30ヘクタール)の敷地にまつわるもの。関連する、その他多くの産業や会社を神戸から誘致したいという。この件について、オーポラロシアを通じて知恵と情報が欲しいとの事だった。

彼は、有料トイレについてもプレゼンテーションしてくれた。オシャレな外観で、商店街やストリートや公園やバス停等の常設はもとより、イベント会場でも適している。ロシアのように公衆トイレが発達していない国では、必要なのかもしれない。現実に、街に出かけたところ、しばしば彼の提案した有料トイレを発見した。入り口でコインを投入すれば、ドアが開く仕組みである。私には、大変魅力的だった。

実は、私は前立腺肥大で、尿が近く、90分に1回は尿意がある。今回の視察でも、帰路について、モスクワ空港のバスの中で尿意があり、モスクワ空港のトイレ不足で我慢しきれず、握りしめ、たどり着いたトイレで、生まれて初めて血の小便が出た。心配になって、国際電話で主治医の先生に聞いたが、大丈夫との事。共に心配してくれた優しい男、平野昌司議員に感謝。

そんな経験に鑑みても、日本では例えばコンビニがトイレを市民に提供している、それ自体は本当に素晴らしい。一方で、身障者の方々にとってのトイレの課題や、デザイン都市としての神戸のトイレのありようといった課題を考える時、有料トイレも一つの選択肢なのは間違いない。だが、何より基本的には、無料の公衆トイレやコンビニのトイレ利用が成り立つ条件でもある「日本が安全な国であること」が続くのが第一。先ずはそこで、頑張らねばならないだろう。

ロシア連邦院(上院)議員の、ミハイル・アファナーソク氏ともお会いした。アファナーソク議員は、人口300万人ほどの温泉もあるリゾート地であるスタプローホーリ市のご出身。医療産業にも詳しく、神戸市との関係を持ちたいと、これ又具体的なご提案を頂戴した。私は、大賛成。神戸と似ているように思うし、少なくとも、観光都市提携ぐらいはするべきで、これは市長に提案したいと思っている。

最後に、これらの医療や保険制度等、難しい専門用語を即座に通訳して下さった、リハチョワ・タチアナさんに深く感謝したい。彼女のご主人はロシアの外務省の高官であり、CIS(独立国家共同体)の統括官。タチアナさんは、日本人以上に万事に控えめ。遠慮がちで謙虚な方だったが、今後、我々のパイプ役として、大切にしなければならない人材である。お嬢さんは現在、早稲田大学の研究生として東京在住であるという。是非、神戸にお招きしてみたい方だ。

以上、三編に渡り、今回の視察行についてしたためてきた。記した他にも、多くの細かな案件の提案も受けるなど、とても実りある視察だった。こうした手がかり・足がかりをもとに、いずれ、神戸が対ロシア外交の窓口となって行くなら…と、思う次第である。
会議の模様