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2014年 05月 27日 火曜日

岸和田では度々催されるが、県外に出るのは初めてと言われた、だんじりの彫刻実演。岸和田の彫刻師木下彫刻師一門の方々が、東灘区… 上御影会館で実演を披露された。

木下彫刻師と、自治会の上御影協力会に平野地車保存会の後援ということで話がまとまり、実現した5月25日の実演。特に保元伸介御影連合青年会々長は、前もって地域に声を掛けてまわり、ビラを貼るなど宣伝に努めて下さった。

その実演は、正直、素晴らしいものだった。せいぜい地車関係者だけと思っていたが、主婦の方、子供達も熱心に見学しておられ、こんなに関心が高いとはと、その数に驚いた程だ。

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私も楽しみながら、彫刻師の木下健司さんからいろいろお話しを伺った。もともと岸和田の彫刻は、姫路の黒田正勝という方の彫刻の流れを汲んでいて、その黒田正勝氏の弟子、木下舜次郎が岸和田に技を持ち帰ったのがはじまり。以来、その跡が継がれた木下一門は、彫刻工芸で80年。今は、三代目の賢治さん(健司さんのお父上)が、身内にとどまらず14人のお弟子さんがたをも育てるなど、日本の文化の為に尽くしておられる。

上御影会館の一階で、その14人のうち、5人の彫刻師の方々が、技をご披露下さった。二階には、出来上がった作品「狭間 石橋山の合戦 朽木隠れ」、「狭間 川中島の合戦」、「見送り虹梁 石川五右衛門 香炉盗り」、「勾欄合 源義経一代記」等の展示があり、ド素人の私でも感銘を受けた。

「安いからといって、地車等の彫刻を中国に頼む傾向がありますが、技はどちらが上ですか」と、木下健司さんにずばり聞いてみると、「中国にも、優れた技を持った方がたくさんいます。違うのは、日本の歴史と文化、伝統を知らない事です。それらは、作品に表れてきます。人物の顔が中国人になったり … この辺りは淡路彫りという特徴があって、ずんぐりむっくりが人物像なのです」とお答え下さった。

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「これからもご一門は続くのでしょうね。期待しています」と申し上げると、「私は残念ながら、娘が2人なので … でも、弟の子供が男ですから」とのお答え。もちろん彫刻師に男女の差別は無いと思うし、なによりも、この関西に残る淡路彫りの彫刻の伝統を育てて頂きたいものである。

それにしても、今回のこの試み。後援された上御影の関係者の皆さんは、実に良い事をして下さった。感謝。