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2014年 01月 10日 金曜日

日本のメディアがさほど報道していないのが、カンボジアの現状。実は、現在のフン・セン首相は国民の支持を失いつつある。救国党のサム・ランシー氏が、昨年7月の首相選挙は無効であると訴え、デモが繰り返されており、かなりの死傷者を出している ─ そんなカンボジアの内政事情について報告を伺ったのは… 前に当ブログで紹介した正井元神戸市消防局係長から。カンボジアからこのミーティングのために一時帰国された正井さんを囲み、議会の一室で8日、カンボジアで消防学校を建設したいという同氏の夢をどう実現するかについて、和やかに懇談した。

神戸国際協力交流センター常務理事の大野利彦さんや、民主党の藤原武光議員・川原田弘子議員・人見 誠議員に私の5人で、約1時間半にわたって知恵を出し合った。出席予定だった自民党のかわなみ忠一議員は風邪で急遽欠席となったが、私に重要なメッセージを託してくれていた。

実は、私はこの件では後発組。どの位話しが実現に向かっているか理解していないので、今回は勉強のつもりだった。

先立つ課題の「消防学校の建設費用をどう捻出するのか」では、正井さんが自力で、カンボジアの日本大使館の職員の指導を仰ぎながら、知恵をお借りしつつ手探りをしている状況だが、それで出てくるのは、せいぜい3〜400万円程度で、それでも大変だという。

そこで、私はかわなみ議員の伝言を伝えた。彼の商社マンとしての経験によると、日本のODAを使う場合、相手側のリクエストが一番大切で、このケースではカンボジア政府から日本政府に対し、「消防学校がカンボジアに絶対必要なので、日本のODAで何とかして欲しい」と、リクエストの筆頭といった高いランク付けで要求してくれると、仕事がし易い。ODAであれば、千万単位や億単位になるというのである。

どのように上司にお願いしているのか、と正井さんに伺うと「まったくしていない」とのことだったので、すぐ上司に対して働きかけるようお勧めした。藤原議員からは、
「それも大切であるが、幸にして、JICAの指導で、神戸市と独立行政法人国際協力機構との連携協定があって、神戸市からJICAに対して、カンボジアで消防学校を作ると共に、防災システムの構築をすることによってアジアで貢献したいと表明することは、神戸市にとっても神戸の企業にとってもいいのではないか」
と、良い提案があった。川原田議員からは、
「まず、小さな建物でも良いから、大使館の指導を得ながら … 消防学校の前身の前身でもいいので、出発させるのが良いのではないか。ODA、またはJICAの話しが進んできても、それによる種があると無いとでは大違いだ」
と現実的な意見が出た。

私は、
「正井さんの上司はマオさんという、首都プノンペンと王様を守る、いわゆる近衛兵の隊長で、軍の実力者である。そのマオさんと兄弟のように親しく、また親戚筋が政財界の大物のA氏」だと説明した上で、「カンボジア政府にはこのA氏から、カンボジア国民のために日本のODAを要求したらと勧めていく。
さらに藤原議員の提案も市からJICAに働き掛けをして、神戸がカンボジアの防災・防火・救急のシステムについて指導的な役割りが果たせるよう、重ねて努力し、日本政府にも働き掛けて行く。さらに、川原田議員の『小さなことからコツコツと』も絶対必要なので、神戸で市民運動を起こして、わずかでも募金活動をしようではないか」
と提案した。

人口1600万人位で、親戚一同が国の実権を握っている国では、冒頭のような内情で国民が黙っているはずがない。いつかフン・センは倒れるが、その時は、正井さんの上司のマオさんも、首が飛ぶ。そうなれば、我々の努力も正井さんの夢も飛んでしまう。そうならないように、熟慮して実現しなければ、と話し合って、懇談を終えた。

やらなければならない。カンボジアの国民のために、神戸の名で貢献したい。正井さんは、「カンボジア国民も、内戦はもう嫌だと思っている。国民だって賢くなっているだろうから、何とか落ち着くと思うと」と仰っておられたが、本当に、そう願っている。
写真▲ 神戸港が眼下にひろがる議会の一室で、知恵を出し合った