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2013年 10月 28日 月曜日

神戸市長選挙は、終わった。このブログ記事を書いている間に、9本の祝電を頂いた。その内4本は、「久本信也が許せない。もし3万票とっていたら市が変わってしまっていた」。2本は… 「森下が出てくれて良かった」。1本は「投票率が伸びれば、更に危なかった」。2本は「樫野を副市長にすればうまく行く」。だが、実際には、会う人々の殆どが久元きぞう氏を好きになっていったのだ。彼の人柄が、そうさせた。いつまでも胸につけた花を落としながら、評判の悪いメガネを変えず、大きな声のスピーカーで、驚く猫を見て、思わずかわいそうにと言ったり、朝立ちでは3〜4分、ビラを受け取ってもらえない中、たまたま受け取った御婦人に、長身を折り曲げて、「ビラを取って頂いてありがとう!」と言ったりもした。そんな、彼の天然ぶりに、私もいつしか惹かれていた。

およそ半年前、副市長室で二人きりで久元きぞう副市長から立候補の決意と応援の相談を受け、二人で話し合った。組合の顔色を見ての政策を行わない、議会の意見を尊重する、医療産業、空港、福祉の件、等々。その話し合いの間の彼の真摯な意見と正直さに、私はすすんでやる気になり、懸命に努力した。

もとより、選挙は楽ではない。彼も十分覚悟していた。そこに、64年続いた副市長(助役)から市長への体制批判である事も知っていた。私も、この選挙の戦いは、そんな市民の思いをどう変えるかにあると分かっていた。その意味では、我が方の戦略は今ひとつ乏しかった。つまり、苦戦の原因は、我が方の戦略不足であり、戦略的には敗戦と言わざるを得ないだろう。

例えば、樫野側が多量のボランティアを動員して、各主要駅に立たせ、市民運動に見せかけたのに対し、我が方は対応しなかった。同様の、各繁華街での市民運動に見せた運動に対しても、無策だった。

キャッチフレーズも、樫野側は明確に「市役所の代表を選ぶのか。市民の代表を選ぶのか」と、一本化していたが、私達には、それが無かった。敵ながらアッパレであったと思う。

では、何故私たちが、かろうじて逃げ切れたのか。それは、最後の後援会の頑張り、電話作戦であった。これは、前回の矢田対樫野とも似ている。前回も、NHKの期日前調査で樫野リードと伝わって来たのをうけて対応し、7,000票差で逃げ切ったのだった。NHKがそんな事を漏らすはずは毛頭ないが、今回も同じパターンだった。

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▲ 武庫の郷で昼食
私は、最終日の26日、久元候補と御影の「こうべ甲南漬 武庫の郷」で昼食をとった。久元氏は、食事を心から楽しんで、ごはんのおかわりを3杯もし、美味しいを連発した。たまたま話題が出口調査の件になったので、前回の件を例にとり「最後にすべり込める」と説明した。それは、あまりにも前回の市長選と酷似していたからであった。

27日の開票当日。全員夜7時30分に集合して、開票を待っていた我が会派に、「情勢は悪い」という情報が伝わってきた。盛山代議士が電話で様子を聞いて来たので、「久元さんには、心配させてはいけない。久元さんは、貴方の言う事は、信じるから」と断った上で、情報を伝えた。何故か、私には前回の経験から、不思議な自信があって、逃げ切れると思った。私は、久元さん本人にも電話を入れ、激励した。当選後、夫人が「落ち込んでいたので喜んでいました」と言って下さったのは、嬉しかった。

8時30分頃、事務所の外に出てみると、井戸敏三兵庫県知事が一人で立っておられた。話しかけると、知事は
「勝負は、午後6時から午後8時の投票者で決まる。午後6時から午後8時の投票者は、久元が多い。だから、勝ち残れる」
という。理由はともかく、勝ち残れるとの思いは私と同じだった。早速、知事を案内して、自民党の集会室を皮切りに、民主党、公明党、そして自民党神戸と回り、議員諸氏にその説を披露してもらった。結果は、ずばり的中した。

樫野氏がもう少し自民党の議員を取り込めていれば……いや、彼には、そんな気持ちは無かったのかもしれない。やはり、久元きぞう氏が「いい玉」だったから、我々が勝ったのである。

しかし、これからが大変だ。副市長から市長へとの市民の反感は、まだまだ続く。本10月28日付神戸新聞で黒田記者が述べている「『44年続いた市役所一家』と呼ばれる閉鎖的な体質への批判は、思ったより強かった」との指摘が当たっている。このまま変わらずに行くと、4年後にはさらに苦戦する事になりかねないのである。

増長しかねないそうした反感を取り消すには、役所の体質を変える事である。身内に甘い部分や、役人の思い上がりに気を付け、ドラスティックに人事をかえて、役人の上向き目線を変える事が、必要だと思う。さらに、市長自ら外に出て、市民と直接会い、話すことだ。民間の、周りの人々の輪をたくさん作って、そこに顔を出して、論議する、等々、丁寧に続ければ、きっと理解される。会う人々の殆どが好きになる … そんな人柄なのだから。