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2011年 05月 22日 日曜日

仙台市の人口の80%約72万人の下水処理をしている、仙台市で最大・最重要の処理場、南蒲生下水処理場を視察したのは、大型テントの視察を終えてから。この下水処理場は… 海岸から200〜300mの所にあり、広大な沈殿池を持っている。震災当日の津波は、地震発生後約1時間くらいで15mの高さで襲ってきた。すべての処理機能が停止し、電源が消えた。

幸い、職員及び管理委託業者101人は、1ヶ月前に行った津波の避難訓練のおかげで最も高い管理棟屋上に避難したので、通勤用の自家用車や公用車90台余りが水に流されただけで済んだそうだ。

屋上に上がった101人は、水没状態が続いたため陸の孤島に閉じ込められ、翌日の12日、自衛隊のヘリで救助されたと、生々しく語ってくださった。その時の様子を記録したDVDを拝見したが、凄いもので、防風林として海岸と施設との間300mに植わっていた松の木がなぎ倒され、それが凶器となって施設を破壊し、車はビルの中に流れ込んでいった。

同席した部長さんは、市民のために下水処理を止めてはならないと決意して、その日のうちに応急処置。自家発電に切り替え、また、横を流れる運河のような川を使って凌いだと、熱い口調で語られた。

16年前、神戸市東灘区魚崎の下水処理場でも、運河的な海をせき止めて頑張ってくれたことを思い出した。それを言うと
「そうなんですよ。その運河に当たるのが、この川なんです」
と、指さされた。更に思い出したのが、以前聞いた広島の原爆時の話。広島市の水道所長が
「水を止めたら、死者が増加する」
と、自ら被爆しながらも復旧につとめ、わずか3〜4時間で水を出したそうだ。それで、どれ程多くの人命を救えたことか…。今回も、多くの市民に不便を与えなかっただろうかと思うと、原子力発電の初期処理に関しては、無念だ。

この下水処理場は、人命を失わずに、機能を果たした。しかし、今も沈殿池には色々なものが沈殿し、機能も低い。処理水をかなり汚濁したまま海に流しているが、基準には合格しているという。海への放出を見せていただいたが、かなり茶色の水だった。
「かつては、この海の海苔養殖業者から、汚水を流すからと長く裁判になった。頑張って、綺麗な水にして流すようになり、裁判も収まり、綺麗になりすぎて困りますと軽口を叩かれるほどになっていたのに…」
と、海を見て、悔しそうな、部長さん。

更に続けて
「皆さん、神戸から声を上げてください。この施設をもとに戻すのに、950億はかかります。国はあくまで現状復帰でもとに戻すだけと言っているのです。同じ950億円使うなら、この際機能的に、しかも、もっと早くできる方法があるのに、あくまで現状復帰でないとダメと言うのです。神戸から声を上げてください。」
と訴えられた。
写真


この訴え、私には、良く理解できる。なぜなら、16年前に同じ目にあったからだ。東灘区東部市場も、同じ所に同じ柱を立て、同じ屋根で再現した。私も市場の幹部も、この際、より利便性の高いものを同じ金額でできると訴えたが、できなかった。

こんなことこそ、マスコミは報道するべきではないだろうか。また明日も、この続きを…