かつて、私が2期生の時。岡本の、甲南大学の傍にお住いだった、故松澤社長が
「岡本に居られる世界一の桜学者笹部新太郎博士が他界され、その資料と屋敷が西宮市に取られる」と訴えてこられた。
その事を受け、すぐに当時の宮崎辰雄市長に訴えて、市長が激怒したが時既に遅し。貴重な文献や資料が西宮市に寄付され、屋敷は取り壊し、土地も売られようとしていたが、かろうじて土地だけは神戸市が買収して都市公団になった。それ以後、桜守会が結成され、笹部桜を全国に広める運動が進められるようになった。
笹部博士は
「山桜が日本の桜だ。ひっそりと咲いて、ひっそりと散っていく。そして花が散った後、緑の萼(ガク)で楽しませてくれる。もの静かで、控え目で、その中にある上品さが日本の桜だ。今はやりのソメイヨシノは、江戸時代に出てきた品種で、パッと咲いてパッと散る。そして残った萼が美しくないのは日本に合わない」と仰った。その山桜から、笹部桜が出来たのだ。今、岡本の地では、さらに新種が出来ている。
毎年の観桜会は、4月の第一土曜日となっており、今年は4月2日に催される。13時の予定で、甲南大学の茶道部の学生さんや大道芸人さんなどの余興も添えて、和やかな観桜会になりそうだ。私は、公園の歴史や桜の説明をすることになっている。
桜を楽しむのには、やはり平和に仲良くが一番。心が和んだ、良い一日だった。雪も舞おうかという冬日、益々春が待ち遠しくなった。