「名前は忘れた。確か2軒あって、奥の店がうまかった」とそれだけを頼りに、ナビに徳島空港とセットして、ミステリーツアーは始まった。ナビのおかげで徳島空港には着いたが、空港もうなぎ屋もない。道路標示が違っているから「空港が潰れたのではないか」「きっとそうだ」などと軽口をたたきながら、現地の道路標識に従って行くと、ようやくそれらしき建物が見えてきた。
かくて、空港は発見したものの、今度は肝心のうなぎ屋がない。仕方なくくるくる回っているところに通りかかった、国勢調査をしている40代の女性に聞いてみた。まるでダーツの旅。「あぁ、今も2軒うなぎ屋はありますよ。名前は忘れましたが」と言いながら、と友人に電話で尋ねてくださった。「早く閉まるうなぎ屋」と聞いて、『まるちょう』。もう一軒は『藤崎屋』とようやく分かった。2軒とも国道28号線沿いだそうだ。
どちらも尋ねようということで、まず『まるしょう』に。到着は午後3時で、店は既に閉まっていた。店を覗いて聞いてみると「午前11時開店で、材料がなくなれば2時でも、3時でも終わる」そうだ。もう一軒の『藤崎屋』では、Kさんはうなぎのせいろ、私はうな重定食を注文した。はるばる徳島へうなぎ屋を探しての旅。味にはむろん満足したが、この遠路を駆けてくれば、当然。
▲ 徳島空港
夕日が瀬戸内海を照らす頃に、明石海峡大橋を渡った。まるで映画のワンシーンのようだが、Kさんはぐっすり。旅の締めに明石焼の「よふけ」に立ち寄ったのは、タコ焼きにこだわる関西人の酔狂…いや、ご愛嬌であった。