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2010年 05月 30日 日曜日

故 速水力消防司令の顕彰レリーフ除幕式が、昨29日午前11時より東灘消防署で行われ、参列した。除幕式で挨拶に立った村上正彦消防局長は…
「速水力消防司令の殉職を期に、事故調査委員会を設けて検証した結果、指揮体制の強化、室内侵入の判断の見直し、企業の責任、法の改正、訓練のやり方と整備など、多くの改良点を出して実行している」
との報告に加え、
「市議会の人々にもご助力を頂いた」
とさりげなく話してくれた。もちろん、努力してくれたすべての議員に対してだが、その一人としてうれしかった。

消防局が、本当に一丸となって彼の死に報いるべく努力して下さったことに感謝しながら耳を傾けていると、消防局長がお父上の
「つとむは頑張りすぎたのですね。つとむの死をムダにしないよう再発防止に努められていることに感謝します。ただ、つとむの死が消防署と消防士の負担にならないよう願っています」
という、立派な消防士を育まれたお父上ならではの、思いやりに満ちた言葉を紹介された。


写真
▲飾られたレリーフの除幕
レリーフは、東灘消防署内の1階エレベーターホールと、6階の訓練施設入り口の2ヶ所に飾られた。東司令補が仲間として
「彼が訓練に熱心で、勉強家でもあり、人々から愛されていた」
と心からの思いを述べ、東灘署の濱田所長は
「最愛の部下をなくした悲しみを越えて、速水力消防司令の、消防に対する熱い思いと勇気を讃え、顕彰することにした」
と、短くとも部下への思いが伝わってくる内容で、彼を讃えつつ経緯を説かれた。

爽やかで暖かな式典の終了後、6階のレリーフを見に行くと、速水力消防司令が真剣にロープを渡る姿を納めた写真があった。御遺族の、奥様とお母上がご覧になっておられたので、お悔やみと感謝を申し上げた。奥様は、
「先生のブログを拝見させて頂いて、慰められています」
と言って下さった。聞けば、結婚4年目だそうだ。夫婦として最も充実し、次のステップに向かう良い時期だっただろうに、本当に悲しかったに違いない。

屋上にある訓練場に行くと、お父上が
「安井議員のブログを拝見させて頂いてます」
と声をかけて下さった。ありがたかった。私の好きな冒険家 植村直己さんがエベレストのクレバスに落ちた時、報道陣が彼のお父上に遺体も発見されないとインタビューしたとき、
「私の息子が世間さまに大騒ぎを起こしてしまって、本当に申し訳ない。叱ってやって下さい」
と、謙虚に話されたのを見て、息子さんに対する深い愛情と父親としての威厳を感じ、”この父があって、世界の植村がある”と思った。その時と同じように、速水さんのお父様の、前述の謙虚な言葉に感動したとお伝えしたかったが、口に出しては軽すぎると思い、止めた。

「息子のDVDを作ろうと思っています。安井さんのブログの写真を使わせて下さい」と仰るので、喜んで「自由に使って下さい」とお答えした。短い会話で終わったが、きっと、お父上はすべて心得ておられるだろう。

元東灘区副区長の丸一功光さんは、神戸市消防局総務部長の要職に就いておられ、制服で出席していた。「かっこいいよー」と冷やかすと、笑って「言葉も行動も違ってきたと、人に言われます」。彼も、立派な消防の男として歩んでくれている、良い男だ。帰路、婦人会長や連合自治会長と「いい天気の下で、いい式だったねぇ」と話しながら、満ち足りた気分で歩いた。

偶然にも火災現場に居合わせた私は、職務に忠実で勇敢な彼に敬意を表すべく、こうした情報を発信する義務を感じている。社会には、消防をいとも簡単に批判し、様々な無理難題を、当たり前のように要求する市民がいる。それでも、消防士は命を懸け、市民の生命と財産を守るために黙々と訓練を重ね、働いていると、少しは知って頂きたいと思っているからでもある。もっと消防士を大切にし、感謝するべきだと思うのである。