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2010年 05月 19日 水曜日

神戸市医師会が1年かけて、新型インフルエンザ対策検証をした報告書が届いた。

内容は…
2009年4月23日、メキシコ・アメリカにおいて”豚由来インフルエンザ”のヒト—ヒト感染による死亡例発生の第一報が報じられ、我が国はもとより全世界に衝撃が走った。そして神戸市での国内発生。これを受け、神戸市のすべての医師会員はもちろん、組織としてかつて経験したことのない感染症対策に戸惑い、混乱しながらも一丸となって対応してきた。
この間、市民の健康を守るための戦いの中で得た多くの経験や課題、さらに試行錯誤しながらも実施してきた様々な対策を貴重な教訓として、今後の感染症対策に活かすべく検証を重ねてきた。

例えば、当初国は全国から行政医師や、国立病院機構の医師などのマンパワーや多くの物量を総動員し、世界に例のない厳重な検疫体制を敷き、万全の対策をとっていると胸を張っていたように思われる。
しかしこれは水際対策の効果を過信し、偏重しすぎたために、一方での国内の新型インフルエンザ患者の早期探知の仕組みや、医療提供体制の確保については事前に議論されていたものの準備が遅れ、各地において様々な混乱を招いたことも否定できない。

と指摘するなど、各項目にわたって詳しく検討。国内初発生した地の医師会として、全国に対して立派な報告書になっていると思う。


▲各項目にわたって良く検討されている
新型インフルエンザ(A/H1N1)の日本国内第一号が神戸市で発生したのは2009年5月16日で、まだ記憶に新しい。今回の報告書の最後は、
阪神淡路大震災などは自然災害であったが、今般の新型インフルエンザ流行におけるサーベイランスの不十分な対応、更にはワクチン行政の不確実性による感染拡大への対応遅延は、ある面、人為的災害と考え反省すべきである。新型インフルエンザの感染拡大は住民・行政・医療機関が一体となれば流行もある程度良くしすることは可能である
と締めくくられている。これは大切なことで、例え天災であっても、対応によって被害を最小に押さえられるが、対応が悪かったら被害が広がり、人災となり得るのだ。

宮崎県の口蹄疫感染拡大についても、同じことが言えるのではないだろうか。感染した牛や豚肉を食べても人体に害は無いが、政府の対応が遅く感染が拡大した側面もあるように思う。新型インフルエンザでの経験を活かし、これ以上の感染の拡大が無いように努めて頂きたい。