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2010年 05月 01日 土曜日

”深江文化村”に隣接する上組の広大な敷地に社員寮とマンションが建設される計画が発表され、地元で大きな問題になっていることは、”ここでも何度か紹介してきた。その計画にあたり、ついに施主側が近隣対策会社を投入し… 住民は対策会社と対峙することになった。施主側は合法的な建物として押し切るのが常。地元住民は、日照の問題・覗き見・後々の管理等の問題を挙げ、対立する。

地元住民から出席を要請された話し合いの場に30分ほど同席したが、なかなか噛み合ないようだ。私が心配するのは、神戸市がこれから大切にしていこうとする”深江文化村”をどう守っていくのか、だ。あまりにも不似合いなコンクリートの建造物を建てられると、雰囲気が変わってしまう。

私の実家は、60年続いた日本料理屋だった。ある施主が店の前に大きなマンションを建て、入り口の目と鼻の先に、ゴミステーションを造った。創立者の祖父母が泣いていたのは、今でも忘れられない。深江の問題でも、かつての文化村時代の家を代々受け継いで、守って下さっている方がおられる。その方々はきっと、心配されているだろう。

なぜ、区役所も市役所も介入しないのか…聞く所によると、自治会長は市に助けを求めたらしい。が、当局は「公平ですから」と答えたそうだ。そんな答えなら子供だって言える。その職員は、自分の職務の責任を理解していない。自分の課が何のためにあるのか、公平を、自分が責任を逃れる口実にしていないか。合法的な建物として強引に建てようとする施主と近隣の人々との間に入って、調整をしたり、法的な説明をしたり、住民の意見をできる範囲で施主側に反映させる主旨でできた課なのに、公平を理由に仕事をしないなどというのは、納税者の立場からすれば不公平ではないだろうか。自治会長は「結局、市は企業の味方で、我々のことは聞いてくれない」と肩を落とされていた。

私は、神戸の大切な深江文化村に大きな影響があるであろうこの建物について、施主はできるだけ、いくらかでも文化村への思いを持って下さるよう、願う。ところで、この文化村を研究する学者や文化人がダンマリを決め込んでいるのも、私は理解できないのだが…