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2010年 04月 12日 月曜日


▲なるほどと思える所もある
関西3空港のあり方について、前兵庫県知事の貝原俊民氏が理事長を務める”兵庫県地域政策研究機構”から提言が出された。関西における空港の不幸な歴史から始まる非常に興味深い内容の提言書は、20ページ程。その不幸とは…
  1. 国が、東京集中で成田空港を含めて発着便数を飛躍的に増加させたことが、関西を地盤沈下させた

  2. 埋め立てコストも安い神戸沖に持っていくべき国際空港が、宮崎市長によって反対され、国が昭和49年泉州沖に決定したこと

  3. 宮崎市長は、神戸沖国際空港に反対したのは一生の不覚であったと後悔して、改めて国に滑走路2本の神戸沖新空港試案を提出したが、国は感情的ともいえる頑迷さで、泉州沖を強行した。この時点では、まだ後戻りして再度神戸沖を検討できたのに、しなかった

の3つ。これらが重なったが故に
「現在の関西の空港の状況は、国の長期的視野でなされなかった産物である」
と、厳しく指摘している。まさに同感である。

宮崎市長が淡々と本会議場で後悔の弁を述べた当時の議会で、私は二列目にいて、彼の顔がはっきりと見えた。彼は何かから開放されたように1点を見つめ
「私は、個人としてずっと空港のことを思い続けていた。神戸市にとって空港は必要でありまます。今ここに、改めて議会の皆様の御理解を頂きたい」
と、深々と頭を下げたのだった。私は、政治家が前言を悔い改める勇気と重さには感動したものの、この判断ミスは大きく、確かに、未だに関西空港全体に影響している。

感情的にもなって、改めての神戸沖案を書類を受け取らなかった国の判断についても、コストが高くつき、背景とする人口も少ない泉州沖での強行は、重大な判断ミスであったと残念に思う。しかし、その背後に、大阪財界人のエゴはなかっただろうか。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの神戸市をどう思っていたか ─ 私は、当時の神戸財界と大阪との差を、まざまざと見た思いがした。

提言中にある「関空と神戸の合体」や「大阪湾空港の機構」。「伊丹の存続」に「関空・神戸空港間の海底トンネル案」。まだまだ、書きたいことはたくさんある。それらについては、また、機会をとらえて記すとするが、今回の提言の内容については、私の知る限りでは神戸新聞、産經新聞、日本経済新聞が記事にしている。

提言者が前知事の貝原俊民氏で、前々から言っておられたことなのでインパクトはないが、この時期になぜ発表されたのかと考えると興味深い。そう言えば今日は、関西3空港懇談会が開かれているではないか。だから、大阪府の橋下知事を意識している感を禁じ得ないのである。