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2010年 02月 06日 土曜日

いつの日か、日本酒がもっと日本人の暮らしにより深く密着し、「神戸は日本酒の町」と、真珠や洋菓子、或はファッションのように、それが今でも海を越えつつあるけれど、もっともっと、普通の選択肢として世界に広まる日が来ないかなぁ、と、そんなことを夢見ながら足を運んだのが、東灘区にある菊正宗酒造の蔵開き。ざっと見た感じでは… 晴天に恵まれたこともあるのか、この冬一番の冷え込みにも関わらず、8000人以上の入りと、大盛況。今年は私も、食通のKさんにボランティアのAさんと、3人連れである。

10時40分頃に到着し、交通整理役の社員の方から入り口で手渡されたのは、禁酒ドライブステッカーと、西田幸子とジェロのCD。既に菊正宗酒造の地元、魚崎南町5丁目自治会と魚崎川西自治会も出店され、賑わいだしていた。顔なじみの方々にご挨拶。すべての椅子席は酒席で、下戸の私は座る所がないから、すごすごと「嘉宝寄席」に向かった。


▲風情にあふれた酒造り唄

▲楽屋に慰労訪問
息の合った酒造り唄の最中で、良い雰囲気。代表の方が「創業350周年に当たる年に、唄えて嬉しい。私達は唄を上手に唄うというより、身体で唄っています」と挨拶された。酒蔵で聞く酒造り唄は、格別。その上、贔屓にしている笑福亭瓶太さんが一席演じられるというので、楽しみにしていた。ふと後ろを見ると、甲南大学の同窓の加納毅人社長が、大勢の中で立って見ておられた。学生時代からそうだったが、謙虚な方だ。その社長のリクエストで、桂宗助師匠が落語の大ねたの「らくだ」を口演された。

偶然にも、酒蔵を廻って名酒を探している加古川のKKさんにお会いした。思えば、福井の昌冨すしに集まったメンバーが再集合。おいしい話で盛り上がる。KKさんも食通のKさんに知らされて、毎年来られているようだ。が、KKさん曰く「蔵開きの中でも十指に入る程大きな蔵で、評価も高い。願わくば、吟醸酒を一杯200円位で少し飲ませてくれれば、(本物の)酒の味が分かる。おにぎりはどこの蔵開きにもあるが、できれば自前が欲しい。米は酒のイメージに繋がっていく」。いかに名杜氏がいても、経営者と気が合っていないとダメで、いい酒ができない云々…。私も、興味深くうかがった。

4人でシシ鍋を食べ、酒談義を楽しんでから菊正宗記念館へ。Kさんは「大吟醸」をご購入。周囲には、お酒に因んだ商品がずらり。酒カレー・入浴剤・酒キャラメル・酒まんじゅう・奈良漬け・酒袋…そして、その酒袋で作ったバックに、アイスクリーム…。まさに、工夫を重ねた企業努力の結晶が並んでいる。Kさんはアイスクリームと酒カレーをご購入。館の階段に座り、3人で食べた。いつもながら、その抑えられた甘みとコクに、「うまい」と思う。

20人ほどの方に、どちらからおいでか伺ってみたら、東灘区の方はわずか3人で、加古川・川西・垂水・西宮・大阪・堺と様々。どうやって蔵開きを知ったのかを尋ねると、ほとんどの方が「友人から知らされて」とお答え。つまり、食通のKさんのように蔵開きのパンフレットを持って廻って下さる方がたくさんおられて、地元の東灘区の人が、知人や親戚に声をかけ、酒の地元にいる喜びを発信しているのだ。佳酒を愛でる郷土愛あふれる人々に囲まれ、実に良い一日だった。