久しぶりに雪景色も見たければ、美味しい魚も頂きたい。ただ… 不幸にも私はお酒が飲めず、粕汁で酔ってしまう。それでも、Kさんと訪ねてみたかった。ボランティアのAさんに無理を言って同行して貰ったのは、女性がいる方が楽しいから。午後、飛び乗ったJR大阪発のサンダーバードにはKさんがお連れになったお2人がおられ、計5人でのグルメ日帰り旅行と相なった。
車窓から見る真っ白な平野と山が、幻想の世界へと導く。福井駅では冷たい小雪が顔に降り、寒風が雪国を感じさせた。昌冨すしの主(あるじ)は、Kさんの電話に「日本酒をビンごと雪に突っ込んでいます」と、漏れ聞こえるほど威勢の良い声。食通・日本酒通を迎えるとあって、主、力が入っているなと、分かる。
▲皆さんでお料理を楽しむ
まず出されたのは、8kgもの天然物、寒ブリの刺身。それも、醤油をつけず、わさびを巻いて手で食べろと仰る。言われた通りしてみると、実にうまい。そこで、Kさんがあらかじめ送っておられた古酒、月桂冠の2006年11月金賞受賞酒の封を切ると、持参した8種の猪口を出して、一つ一つの猪口で酒を呑みだした。私は、横でお茶である。猪口にもいろいろあって、皆さん「川瀬 忍の青磁盃の唇に当たる触覚と、形の良さ。一方また、錫器で冷酒がそれぞれの良さ、面白さを奏でる。それを悦に入って楽しんでまんねん」と仰る。私は「うん〜」と、その深い蘊蓄にうなるばかり。
▲これがまた旨かった
Kさんが菊正宗酒造の新酒の嘉宝を出して封を切ると、また猪口が並ぶ。今度は、猪口のここで飲むとうまいといった講釈が始まった。ふと見ると、Kさんのご同行のKKさんも、加古川の宝殿から鞄に詰めて、猪口を10個以上持って来られている。猪口を変え、いろいろ味わっておられるのだ。
食通・酒通この上なし。料理だけで酒のたしなめない私も、この店は構えでなく、主の腕と心意気が店の看板だと、思い知らされたのだった。そんな、久しぶりの贅沢をしたグルメ旅の話の続きは、また明日。