Skip to main content.

2009年 11月 27日 金曜日


▲特別委員会の局別審査で訴えていた
平成21年度入札契約制度の変更について午後3時から発表があると、神戸市行財政局から連絡があった。

そもそも、建築業界は現状、悲惨な状況にある。神戸市の公共工事を受注すると赤字になる事が多い。いろいろな原因があるが… 例えば、神戸市が考えている最低価格以下で、とりあえず受注してからポイ投げをしたり、下請けを泣かせて無理な価格で仕事をするといったことが、根底にある。これらは実際には違法だが、どうやるのだか、合法的になるようにやっているらしい。神戸市の方も、ポイ投げの事実の証拠がない限りどうしようもなく、市の基準に合っていれば合格である。業界から私に寄せられる悲鳴は大変なもので、倒産・夜逃げは常識。赤字と分かりながら、お金を回すためにだけ仕事をするという。

さらに市内業者を痛めつけているのは、他都市から仕事を取りに来る人々。神戸市が出す工事に、他府県ナンバーの車が並ぶ。それを指をくわえて目の前で見る市内業者の辛さは、良く分かる。彼らは「我々の税金なのに」とつぶやくだけだ。

ある建築機材のレンタル会社の支店長が
「安井さん、このままだと建築業界のまじめな人が食べられなくなってしまう。社会の底辺で働く人々が、あまりにも気の毒。私の会社に、朝、道具を借りに来て、やっと仕事をさせてもらい、夕方帰っていく高齢者を見た時、たまらなくなった。何とかしてあげて下さい」
とずっと訴えられてきた。

私もよく分かっている。自民党としても、下請けは地元業者を使うように、また、適正価格を守って欲しい事。さらに、実態や実績のない会社が一発屋のように最低価格以下で仕事を落札するやり方について注意をするようにと、機会あるたびに意見を述べてきた。

これらに応じて、今回の見直しがあり、

  1. 低入札価格調査について (対象工事価格の引き下げで2億円を5億円にする)
    つまり、今まで神戸市が思っていた低入札価格調査を引き下げ、技術力等によるコスト縮滅余地の大きな予定価格5億円以上とすると共に、予定価格5億円未満の工事については、最低制限価格制度の対象とする事になった。これによって、安く受注しておいてポイ投げし、鞘だけ抜く行為はやりにくくなったと思われる。

  2. 地元下請け率について
    1次下請け契約に占める、地元下請け契約の割合が70%以上の場合、総合評価の1点を加点する事になった。県は100%であるが、市と県とは業者数も違うところから、70%になった。

  3. 失格基準価格の設定
    低入札調査の対策工事が、2億円以上から5億円以上に引き上げる事になった事により、総合評価入札方式において、施行的に失格基準価格を設定した。この計算方式は私も理解しにくいが、今まで低入札価格の50~60%でも受注されてきた。それが、今後は5億円までの工事は、およそ70%以上でないと受注されない事になりそうである。この件について、私個人としては大いに評価している。


まず、①の低入札調査に年間50件位あったのが、対象が5億円に変更した事で20件くらいになるのではないかと思われる。30件ほどは失格となるだろう。2億円を5億円にしたのはすごい事で、大阪市の1億円、京都市の5千万円、堺市の6千万円等に比べ、突出している。まさに、思い切った英断を下したのだ。

事によると当局は、公正取引委員会に引っ張り出され、お灸をすえられ、変更を余義なくさせられるかも知れない。しかし、これは私個人の感想であるが、本当によくやった。私は応援する。当局は「市民のために、当たり前の事をやったまでです」と謙遜するが、久しぶりに気骨のある役人に会った気がしているのである。