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2009年 11月 09日 月曜日

議員という仕事をして33年。その中で、良い事・悪い事…議員というのは使い用だと、つくづく思う。もちろん、議員の仕事は三権分立の立法機関に当たり、行政に対する指導・監督を立法を通じて行い、個人的な利益や私恨で権限を使ってはならない。しかし、ある意味、市民の要求を行政に頼む時には、行政側の弱点を知っているかどうかや、当局の傾向と対策を良く知って筋が通るように持っていく術などを、経験を積んで学ぶ事になる。これが… ベテランの味であり、上手くいくコツでもある。

希とはいえ時には、行政側担当者が同窓生であったり、個人的に親しい間柄であったりもする。だからと言って、できる事・できない事ははっきりしている。が、可能となる方法を教えてもらう事は、しばしばある。

議員のタイプとして、当局に「もみ手」でお願いするタイプもあれば、真正面から行くタイプや、コワモテタイプもある。私は、どちらかと言えば真正面タイプかコワモテタイプと思っているので、役人に好かれてはいないかも知れない。


▲障害物競走のように、様々な要件に対処
それでも構わず、市民のために「そんな事がなぜできないのか」と思ったり、役人が仕事から旨く逃げているのが分かる時には、よく指導する。その役人を連れて局長に会い直談判をすることもあれば、副市長の前でやることもある。どちらが正義なのかと問い詰めるまでに至った事もあれば、記者クラブで話を聞いてもらうことも、あった。

こんな仕事をしていると、自殺の予告を受ける事もある。多いのは、こどものイジメ。親が「こどもを助けられないので、今からビルから飛び降ります。先生、後はよろしく」といった電話がかかってくる。脅しでなく、本心だと分かるから、これは辛い。

騙される事も、しばしば。住民は自分たちに都合のいい事だけを私に話すものだから、役人に厳しく注意をする。後でよくよく調べてみて、逆に、役人に申し訳ない事をしてしまったと、後悔した。経験を積んだおかげで、この頃は騙されなくなったし、旨く役人と話せるようになった。初めからそれができていると思っている議員もいるようだが、経過を経て学んでいる議員のそれとでは、自ずと重みが違っている。

例えば、つい3日前、出張中に事務所から連絡があった。とある学校でメールでいじめられ、子供が自殺を思い詰めたようで、保護者が相談したいという。視察を終え、仙台のホテルでその保護者の方に連絡。「学校側はどう言っているの」と落ち着いて尋ねてみると、学校側は
「相手側は分かっていますが、相手はメールを送っていないと答えているので、仕方がない。お互い話し合って、仲良く解決して下さい」

という回答だったそうだ。つまり、学校側は「これ以上できません」と、逃げの態勢である。そこで、保護者に
「学校側に、もう一度メールを見せてここまで来ている事、登校拒否も続いている事を訴えて下さい。そこで、学校側がきっちりと対処しないなら、市会議員に訴えて、教育委員会に直接訴えると発言して下さい」

とアドバイス。結果、うまく解決したようで、出張から帰ってみると、明るい声で「息子が学校に行くようになりました」と報告があった。

「良かった、良かった」というハッピーエンドだが、これも議員の使いようの、よくあるケースの一つなのだ。

高齢者が水道工事代金250万円を請求されたというケースもあった。消費者センターに訴えてもダメで、私が業者と対峙したら、25万円になった。根性焼きとやらで、タバコの火を乳首に押し付けられた被害者と加害者の仲裁に入ったこともある。

このように33年間、本当に、多様な仕事が舞い込んでいろいろあったのだが、絶対にしなかった事が一つある。それは、休日の役人の自宅への電話。もちろん、ガケ崩れなど命に関わる事では別だが、そうでない限りは、ない。役人の範疇で実はやっていない事に気付くと、ついつい自分で動いてしまう結果、傷ついて、悲しくもなるが、それも仕事の一部と思いながら、自分を励ましているのである。