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2023年 04月 07日 金曜日

手を合わせて「申し訳ありません、あなた方のような悲しい人生の最期を繰り返しませんから」と祈ったのは… あの、今年1月22日に火災で4人の高齢者が死亡した、兵庫区の集合住宅を見に行ったときのことだ。

この事件を受けて、神戸市は同じような注意すべき建築物について、今後のために調査していた。この度、その結果がほぼ出たとのことで、担当局から口頭での報告があった。市内全域で82軒ということなのだが、二つの区に集中していて、逆に1軒もない区もあるそうだ。けれど神戸市は、相手が議長といえども、それらの区名を明かさなかった。多分、『それぞれの区のイメージが云々』とか、私には分からない理由によるものと思われる。

消防局は、共同住宅は原則として5年に一度の割合で査察に入っている。また、消火器や火災報知機などの設備の点検報告は3年に一度求めているが、共同住宅の責任者には、1年に一度は自主検査をしていただく事になっているらしい。私は報告を受けた時、「神戸市全部の共同住宅を毎年検査するのは難しいが、この82軒は重点的に検査をしてもらいたい」とお願いした。

私は昔から、火災等で高齢者や障害者が被害を受けるのに、ことさら神経質な議員として通ってきた。弱い者を守る事が出来ない自治体は、行政の力が低いと考えているからだ。自治体として、「市民の生命や財産を守る」といつも言っているなら、何処に社会的弱者が住んでいるのか、知っておく必要があるだろう。勿論、そこには、優しさからくる配慮がほしいのだが。

兵庫区の件では、消防隊が現場に到着してから、ようやく高齢の障害者が居住していると判明したという。また、後日の新聞報道によると、三度に亘って違法建築と設備不良が見逃されていたそうだ。

写真
私は、自分の軽自動車で火災現場に行き、真っ黒に焼けたベッドや室内を見た。窓には鉄製の柵があった。まるでウナギの寝床のような造りの住居で、そうした様子を確かめていると、涙が出て仕方がなかった。私も80歳で、犠牲になられた方々と同年代だ。これまで長く人生を頑張って来られたのに、このような最期を迎えるとは、さぞ無念で苦しかったに違いない。

聞くところによると、この共同住宅のオーナーはとてもいい人だそうだ。きっと、消防局や建築住宅局から建物の改善を求められれば、すぐにご対応下さっただろう。火災の原因は電気プラグからの出火だというから、直接の原因ではないが、もし修繕工事をしていれば、その部分も直っていたかもしれない … そう思うと残念だった。

報告をして下さった部長も、今後同様の事故を未然に防ごうと真剣に考え、対策を打って下さるようだから嬉しい。亡くなられた四名の方に代わり、訴えて良かったと思った。
火災現場写真