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2023年 01月 10日 火曜日

今年もあった「コロナが蔓延したら誰が責任を取るのか」といった消極論や、「何もしない事が無難だ」との意見。それらに… 打ち勝って、コロナへの感染予防を最大限注意しながら開催して下さった、その勇気、その英断こそ、防災の意識につながる大きな効果があったと、そう思うのは、令和5年神戸市消防出初式。

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すばらしい天気で、三年ぶりの開催だけに例年以上の活気が感じられた、1月8日、日曜日。10時から11時半にかけて、神戸市中央区のメリケンパークには、神戸市長に兵庫県知事、消防庁長官代理や兵庫県警察本部長、神戸海上保安部部長、海上自衛隊阪神基地隊司令などなど、防災に関わる重要な方々はもとより、神戸市消防局の方々に一般の見学参加者で、約二千人もの人が集った。

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齊藤知事は消防の幹部服姿で、金糸レ二ヤード(飾り緒)の付いた、なかなか凛々しいお姿。久元市長も幹部服だったが、レニヤードは無し。行進する消防隊隊員に敬礼をされていて、慣れていない様子で少しぎこちなかったものの、充分格好よく思えた。

市長は祝辞で、神戸市が防災に当たり大変な努力をしている現状を語られ、市民に安心感を与えていた。齊藤知事は、県市協調を訴えられた。私も祝辞の機会を与えてもらったので、二つの事柄についてスピーチをした。

一つは、アメリカで22年前に起きた、N.Y.ワールドトレードセンタービルのテロを例にした話。
あのツインタワーが崩落していく映像の記憶は、多くの人に鮮明に残っているだろう。事件の後、私はあの現場に行く機会があり、慰霊碑のあるメモリアルパークで、三人の人物が並んだ写真が売られているのを目にした。一人はブッシュ大統領、一人はジュリアーニ市長、そして、もう一人は消防署長。その三人が、そろって崩れるビルを見ている写真だった。私はそれを買い求め、22年間私の事務所に掲げていた。
あの時、アメリカの消防ベテラン(退役消防隊員)たちは、古びた防災服を納屋から出し、黙々と自分の車で全米からニューヨークへ向かったそうだ。沿道ではサンドイッチやコーラを持った市民が、国旗を振って支えたと聞かされた。
つまり、アメリカ人は、消防職員に対して敬愛の念が強く、日本よりはるかにステータスが高く考えられているのが分かる。日本人はむしろ、消防職員は公務員で市民のために働くのは当たり前と、時には無茶な要求すらする。
私は市民に、コロナ禍の中で懸命に働く消防隊員に対して、アメリカ人に比べるまでもなく、もっと感謝し、敬愛する必要があると伝えたい。せめて、ありがとうご苦労様ですと声をかけてもいいのではないか。もちろん医療関係者にも。
また、27年前の阪神淡路大震災では、長田区の火災で水の出ない放水ポンプを持って、泣き崩れる隊員の姿があった。それを見たら、彼らの心情に強い思いを抱かずにはいられないでしょうと訴えた。その思いが、必ず来る南海トラフ地震への心構えに通じるに違いない、とも言い添えた。

もう一つの話は、長くなるので、割愛。それにしても当局は、コロナ禍の中、本当によく出初式をやって下さったと、私は、感謝の気持ちでいっぱいになったのだった。
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