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2022年 07月 21日 木曜日

手話は、広く学校で教えるべき文化ではないのかと、そう改めて感じ入ったのは… 神戸新聞松方ホールで行われた、神戸ろうあ協会創立100周年記念大会でのこと。

7月18日午前10時からの大会では、祝辞の場が市長と私にも与えられたが、残念なことに、市長は体調不良で欠席。代理として、福祉局の森下局長が挨拶された。急な代理だったのだろう、控室で何度もスピーチの原稿に目を通して準備している姿を見て、私は思わず「受験生のようだ」と笑ってしまったが、その実、彼のひたむきな実直さに心を打たれた。彼は、手話で自己紹介をする等、真剣に役目に向き合っていた。

私も、いつもスピーチには真剣に取り組んでいて、できる限り原稿は持たない。ポイントとなる部分だけ並べたものを用意するが、決して見ない事にしている。この信条のため、いくつかのポイントを忘れてしまい、満足するスピーチに至ることはなかなか難しいのだけれど。

この日はまず、当神戸ろうあ協会の果たした役割に敬意を表した。そして、このスピーチのために前もって相談に乗って頂いた方から、「ろうあ者は、見た目には健常者と同じなので、時には、健常だと間違えられて、不快な思いをする場合もある」と教えられた事を話した。

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私は、ろうあ者を障碍者と見ないで、私たちと同じで少しだけ違う健常者と思う事。そうした少し違った人たちが世の中にはいることを知り、多様性を認め、常に他の人々に親切に、優しく接するのが大切だと訴えた。

また、神戸市の議会では、平成26年に『神戸市みんなの手話言語条例』を可決し、平成27年4月から施行されている事を語った。この条例は、手話への理解の促進及び手話の普及を目的として議員提案し、政令指定都市で初めて制定されたものだ。

他にも、議会からは『神戸らしいファッション文化を振興する条例』や『こどもを虐待から守る条例』『灘の酒による乾杯を推進する条例』、地産地消を奨励する『おいしい神戸産農水産物等の活用の推進に関する条例』等など、いくつもの条例案を出し、採択されている。時として見えづらい、伝わりにくいことだけれど、議会は、多様な市民の皆様の味方として、日々活躍しているのである。

しかし私はこの大会で、手話のすごさとその価値が、今までより少しは分かった気がする。確かに、現在はコンピューターとかスマホなど、ろうあの方を助ける機械もできてはいるが、100年以上も前からの、この意思伝達の手段。数字や名前は言うに及ばず、様々な機微、感情の微妙さまで伝えることのできる方法は、学校で教えるべき文化ではないかと思ったのだ。

今回のスピーチのことで相談に乗って下さり、いつもろうあ者の事を助けておられる東灘区の岡野先生も、会場に来て、私を見守って下さった。会場にいる誰もがみんな優しく、すばらしい100周年記念大会だった。
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