7月2日に記念式典が行われたそれは、立派なドームの空で、世界中の星が見られる。たくさんの星座の物語が紹介され、星と宇宙に包まれる。まさに、神戸で一番星空に近い、ステキな空間になっている。
関西で初導入されたリラックスシートは四席のみだが、大人二人が寝転べるサイズで、応接室なみのソファーが設置されている。水面に映った神戸の夜景をモチーフにしたそうで、見栄えもなかなかどうして、美しかった。
私は、議長として来賓祝辞を述べることになっていた。友人の市会議員に天体観測が趣味の方がいるので、その話から祝辞を始めた。
「彼は、『ポートアイランドの南の星空はすばらしく、たくさんの星が見える』と言って、会う度に立派な機材を手に入れては、美しい星の映像を見せて下さり、私もそれを楽しみにしています。もっと暗いほうが良いとはいえ、神戸は、街でありながら、場所によっては星を見るのに適しているのです」
と、神戸の天体観測の適性に触れてから、震災を振り返り
「26年前の阪神淡路大震災で、様々な価値観が変わりました。物に対する、命に対する価値観。高価なルイヴィトンやシャネルは、あの状況では役に立ちませんでした。命の儚さ、だからこその大切さを知ったのです。本当に大事なことは、愛や絆であると感じました」
と述べた上で、
「私たちの命は、今の夜空に見える何万光年先の星から比べれば一瞬。瞬きほどの短い人生ですが、だからこそ大切なのです。家族と、友人と、そして愛する人と。誰かと一緒に星空を見て、幸せを感じていただきたい。例えば、『ここのプラネタリウムで手を握り合ったら、恋が結ばれる』みたいな伝説ができれば、神戸らしいでしょう」
という具合にスピーチを結んだ。
あらかじめ用意していたスピーチの原稿には、新設備の精度や予算など詳細なデータがあったが、話しているうちに、どこかへ吹っ飛んでしまった。そのおかげで、帰りしなにある議員から「素敵なスピーチだった」とお褒めを頂戴した。
来賓で、スペースシステム創造研究センター スペース・コロニーユニット長の向井千秋博士のスピーチは、子供たちに夢を持たせ、科学へのあこがれを誘うもので、私もすっかり聞き入ってしまった。そして最後のミニコンサート。我が甲南大学の後輩、