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2021年 05月 17日 月曜日

カレンダーを見ながら、指折り数えてきたのは、5月16日。16時30分に御影公会堂で… 一回目の接種を予約していたからだ。会場には、課長も張り付いており、とてもスムーズに接種してもらえて、快適だった。

そんな、あと何日とカレンダーを見つめる日々を送ってたら、新聞報道で御影公会堂に運ばれたワクチンが粗末に扱われて、960回分が廃棄されたのを知って、この件に大いなる関心を持った。

実は今年初め、兵庫県タクシー協会の幹部の方から、ワクチンを運ぶのなら、土地勘もあり人間関係もしっかりしているし、いつも命を運んでいる。丁寧にやるので、役に立ちたいとの陳情があり、私は当局の担当課長につないだのだが、断られた。それは、

  1. タクシーに乗らない大きさである事

  2. タクシーは人間を運ぶ決まりで、荷物はその人間の手荷物になるので、もう一人、ワクチンの冷凍ボックスについて乗らねばならない事


の二つの、大きな理由からだった。業界の方と市の担当者で話し合って、タクシー業界も納得したとの報告ももらっていた。ところが、今回この件を調べると、大きさはミカン箱くらいのもので、十分タクシーに乗る大きさであった。

今回、市が契約した、本社を東京に置くセルート社は、このような物資を運ぶ専門業者であるらしい。調べると、従業員数300人で、神戸にもサテライトがある。そこからの下請けとしては、神戸市は四社を認めていたようだ。東灘区では、その一つのパーソナルテンプスタッフ(株)であるらしいと分かった。

写真
そこで、どのような様子なのか見学させていただこうと、5月14日 金曜日 朝10時に、御影公会堂に行ってみた。マスコミと思しき方々の姿も、会場周辺に見受けられた。会場の中では、7〜8人の方と市の職員と思われる方々が4〜5人、何やら談笑している。聞くと、環境局の職員と派遣会社の社員らしい。この会場では何日も前からやっているというのに、今さら何をやっているのかと、不思議だった。

やがて、12時30分頃、大阪ナンバーの冷凍車らしき軽トラックが到着。関係者らしき人が台車で、ミカン箱くらいのワクチンらしき物を運び込んだ。運転手(配送スタッフ)はその後、そのトラックの扉を開けたままで20分以上、そこでスマホをいじっていたのだか、何かメモ類でも見ていたのだか。何か、待つべき用がまだ、あったのだろうか(写真)

入手資料写真
私は、市のワクチン担当課長に頼んで、市と株式会社セルートとの契約書を見せて頂いた。それによると、契約金は21,252,000円で、令和3年4月1日に契約している。業務内容は「ワクチン配送ルート検討および配送業務」だが、例えば、今回問題になった御影公会堂での、配送スタッフと市のワクチン入りの保冷ボックスの受け渡しの件では、納品作業の項目で、

配送スタッフは当該サテライト型接種施設に納品するバイアルホルダーが入った保冷BOXを保冷ボックスの表示にて確認したうえで、当該保冷BOXおよび梱包済みの付属物品を持参して納品確認票に記載されたサテライト型接種施設内納品先を訪ね、「神戸市からのファイザー製ワクチンの納品です」と伝える
となっている。

配送スタッフは施設の担当者より納品場所の指示を受けて、保冷BOXの中の、バイアルホルダーが入ったバイアルBOXを、それごと受け渡す。その上で、「施設の担当者から受取時の温度および受領確認サインを納品確認票に記載してもらう」となっている。その他にも、かなり細かい事が記されており、そのまま実行されていれば、問題はない。(注 バイアルは、注射剤を入れるための容器。バイアルホルダーとは、複数のワクチン瓶が並んで整頓されているトレー。バイアルBOXとは、そのバイアルトレーに整頓されたワクチンが入っている箱)

だが、しからばなおのこと、今回のケースでは何が、どこが原因であったか、詳しく明らかにして欲しい。なぜなら、もし前々から開封して置いているのが常習化していたのなら、今まで無効のワクチンを接種をしていた事になるからだ。

次に問題なのは、再委託である。

契約約款の第二条で、再委託等は禁止しているが、市に事前に書面によって承諾した場合はできる事になっている。私の調べでは、市は四社を認めておられるようだが、どのような書面を取っているか、認めた四社のさらに孫請けもOKになっているのか、それとも駄目なのかを知りたい。また、四社の従業員の氏名や立場等も届けられているのかについても、明らかにしたい。

その他にも、本契約の中で配送には自転車やオートバイは駄目で、荷室を施錠できる四輪車両であることとされているが、保冷車でなくても良いらしい。保冷BOXに入っているから車両が保冷である必要はないと判断したのかも知れないが、それらの車両の様式についても良く検討指示されたのか、実際はどうだった、知りたいところである。

当局にとって、この百年に一度の仕事は大変なものだ。だから、業者選定に当たって、経験がある大手の方が安心できるのは十分理解できるし、当然でもあろう。だが、はたして下請け会社への業務内容伝達がしっかりしていたのか。多くの部分を丸投げしていなかっただろうか。そういったところまで、良くよく気をつけていただきたい。

なんとかこの危機を、冷静に、皆で助け合って乗り切りたいと思っている。それだけに、今回のワクチンについては特に、それこそ現金を、あるいは繊細なガラス細工を運ぶように、慎重にやって頂きたいのである。

最後に、今回のこの件を、神戸市が自ら、隠蔽などということなく明らかにしたのについては、評価しておきたい。