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2020年 04月 24日 金曜日

「この地が文化と学問を愛する人格を育て、子育てが安心してできる地域として環境を守り、後輩に譲りわたせる地域とする」… これが、53年前、神戸市を代表する高級住宅街、東灘区岡本の文教地区化にあたっての願いだった。

その文教地区のとある宅地が、売却される事になった。南北に分けて大きく2筆の土地に分筆されたが、南側は道路幅が4mないというから、その道路に面した南北の所有者とも、互いにセットバックが必要となる。

しかし、この度の売却にあたり、不動産会社は南側をセットバックしなくてもいいように合法的な手段を取って、売却の広告を行なった。そのせいで、南側に住む住民の方々は、将来も狭い道路のままで、防火上はもとより、救急車も介護車も入れない道路になるとして、大変不安を抱いておられる。まして、岡本にふさわしい環境では無い。そこで、「市から不動産会社に、合法的ではあるだろうが、なんとかセットバックして頂けないかお願いして欲しい」との陳情が、約100名もの署名で行われた。

もちろん市に権力があるわけではないが、行政指導の範囲でお願いしたのだ。これについて市から、「会社に対して、丁寧に住民の願いをお伝えします」との返答が得られた。

私は、かつて甲南大学の学友会委員長としてこの地区の文教地区指定運動を起こした者として、署名した。当時、甲南大・甲南女子大・神戸薬科大の教授と住民が署名活動を行い、阪急電車より北側を日本で三番目の文教地区にしたのだった。

現在、指定が大学をとりまく環境が守られている原点になっているのは私の誇りとするところであり、今回も、住民の方々のその願いが届くよう願っている。
写真 狭い道
こんなに狭い道では…