Skip to main content.

2020年 02月 25日 火曜日

多くの人々が心を一つにして行動したが、結果は出なかった。しかし、 谷尾会長と末若課長と村上さん、山田さんのことは、心に焼き付いて一生忘れないだろうし、バングラディシュのライオンズにも、敬意を表したいと、そう思っているのは、ライオンズのアクティビティとして、日本の災害ボランティアに行きたいという、バングラディシュのライオン(クラブメンバー)にまつわること。少々長くなるが、この半年の動きを示す資料と共に、記録としてしたためておきたいと思う。

写真
あれは昨2019年の…いつだったか、私の携帯にバングラディシュから電話が入った。私がライオンズでもメンバーなので、ライオンズのアクティビティとして、日本の災害ボランティアに行きたいので助けて欲しいと仰る。「分かりました」と答えたが、なぜ私なのか、分からなかった。

今まで、バングラディシュと関係した事はなかったので、今もって分からない。だが、池に落ちた人が通りかかった私に助けを求めるように、何度も国際電話がかかってきた。そこで私は、まず市の国際課と連絡をとってもらって内容を聞くとともに、メールでの文章を求めた。

メールは、私がお世話になっている神戸甲南ライオンズの事務担当、村上さんに送って、神戸甲南ライオンズでお世話下さらないかとお願いした。現在の谷尾会長が委員会にかけてくださり、ライオンズの上部団体に上げたのだが、なぜか答えはNOだった。

神戸市の国際課にお願いしても、多忙なのか、こちらもNO。困って関西広域連合にもお願いしたが、やはりNOだった。困り切ってNOと答えようかと何度も思ったが、その間も、バングラディシュからの国際電話とメールが続いていた。あまりの熱心さに、国際詐欺集団ではないかと思った事もあった。ただ、本当だったらあの弱い経済力の国から、どれほどの思いをして日本に心を寄せて下さっているかと思うとNOとは言えず、希望を持たせながら「I do Best」を繰り返した。

そんな時、谷尾会長が私の思いと同じ事を口にして下さった。断るのは容易だけど、それでいいのか。日本のためにもライオンズのためにも。私は、この若い会長の男意気に感動し、様子を見ていて、気の毒にも思った。企画調整局 関西広域連合担当の髙島課長が、神戸市の危機管理室の末若課長を連れて来られ、協力して下さる事になった。この末若課長が、懸命にボランティアを求めている、外国人を受け入れて下さる都市と、求められる手助けの種類を探して下さった。何回かダメの答えが報告されてきたが、私はそんなはずは無いと思い、「課長は、安井に断る為にそんな事を報告しているのか。メディアでは、ボランティア不足を報じているのに」とまで言った。今では、この私の言葉を恥じており、実は、調べると課長の報告通りだった。

一般的には、社会福祉協議会がボランティアの窓口になっているようだ。確かに日本国内はそうだが、外国からのボランティアを受け付ける窓口は、無いに等しかった。私は議員として勉強になったので、多分ダメだろうが、問題提起はできるからと、「関西広域連合で窓口を作ってはどうか」と提案する事にした。

そうこうしているうちに半年が過ぎ、メールの回数は30を超えた。旅費はどうするかと聞けば … ホテル代や、食事はすべてバングラディシュで持つと仰る。

やがてやっと、末若課長が日を決めて、報告に来て下さった。
「安井議員、千葉県館山市のビニールハウスの撤去で受けて下さるようですが、英語通訳のボランティアが必要です。館山市に行って下さる通訳ボランティアを探さねばなりませんが…」
なんとか通訳ボランティアが見つかるよう願ったが、この頃には、ライオンズの村上さんも谷尾会長も、そして何より自民党神戸市会議員団の有能な政務調査員の山田さんも必死で、翻訳とメールのやり取りをして下さっていた。彼は無口だが、我々の心意気に黙って応援してくれている。見方によると仕事外の事なので、彼なりに心配りをしているのだった。

谷尾会長や村上さん、末若課長と山田さんは、一体化して頑張って下さった。ようやく末若課長から通訳ボランティアが見つかったとの連絡を受けたのは、私が市長や神戸市の実業団の方々等総勢50人でインド、グジャラート州アーメダバード市との経済提携の議員連盟会長として、インドを公務訪問している最中。インド訪問の超多忙の中、その知らせに良かったと手を合わせた。その小さな知らせが、インドでの働きのエネルギーになったのだ。

私は、人に勇気と希望を与える、ボランティアという小さな善意の大きさを知った。

帰国後、ライオンズ会長が「バングラディシュの三人が入国するための、身元保証人になる」と自ら仰るので、私もと名乗り出た。この善意の谷尾会長と神戸甲南ライオンズに迷惑をかけてはいけないと思い、先の国際詐欺集団ではないかとの疑惑について、バングラディシュの大使館に、参議院議員の加田議員に頼んで確認して頂いた。実際にライオンズが存在して活動をしているのか、その他気になる事はないか確かめて頂いた結果、加田議員から大丈夫のようだとの答えで、私も保証人のサインをした。

加田議員は「日本とバングラディシュのために、私も、出来る事ならお手伝いします。」とも仰り、実際に色々手伝って下さったのには、さすが私が応援した議員だと、嬉しかった。

写真
来日が2月22日と決まると、なんと谷尾会長と危機管理室の末若課長が空港まで迎えに行くと言い出した。私も行きたかったが、仕事で叶わず。課長が、バングラディシュの方を空港で待ち受けるためのボードを持った写メを送って下さったが、それを見て、この8カ月間成り行きを見守ってくれた足立ボランティアとライオンズ事務局の村上さんが笑いこけた。なんと可愛く、凛々しいのか。きっと良きパパ、良き家庭人なんだろうと思った。市長も議会も、神戸市職員に誇りを持ちたいものだ。

今回の件で、私は谷尾会長にも感動した。きっと彼は普通の男で、酒を飲みバカをやりバカを言うだろうが、しかし、キラリと光るものを持っている。この仕事で、男女を問わずそんな人間と会うのは、何より楽しみだ。

さて、ここまでは、本当の美談。しかし、現実は違った。バングラディシュの三人がタイで留まっているとの連絡が、連休中の21日、山田さんにメールで入ったのだ。早速、加田議員に調査方をお願いしたが、何分外国の事でm分からないという。気の毒なのは谷尾会長と末若課長で、空港で待ちぼうけである。

加えて、館山市の方は当てにしていたので、なんと谷尾会長が、バングラディシュの方に代わってビニールハウスの撤去に一日を費やしたのだった。その写真を見た時、改めて彼の良さと強い責任感に感動した。

私が皆さんと同じようにNOと言っていれば、楽にやり過ごせ、谷尾会長もこんな羽目にはならなかったのではないかとも思った。しかし、谷尾会長は、「少なくとも彼らは、日本に来るために心を込めて出国して、何らかの理由でタイで留まっている。我々の思いも、届いたのではないか」と言って下さった。この言葉に、私は救われた。

しかし、なぜタイで留まっているのだろう。飛行機の切符は日本までなのに、コロナウィルスが影響していたりするのかなぁ、と、まだ気がかりのままでいる。