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2007年 12月 26日 水曜日

64年間で初めて一人でクリスマスイブを迎えた。
家内は仕事(美容師)、娘は横浜。
久しぶりのひとりぼっち、良いではないか。
一人を楽しむ為、映画好きの私は家に約500本の名作ビデオを持っている。
午前中、NHKで(私の?)青春時代の代表、石原裕次郎の事を語るまき子夫人(北原三枝)に心を打たれた。

その後、二つの映画を取り出し、その内の一つ、37年前の名作「ひまわり」を見た。

舞台はイタリア。主役のソフィア・ローレンが美しい。
愛し合う若夫婦が戦争で離され、夫、アントニオはソ連に出兵し行方不明となる。
夫人、ジョバンナ(ソフィア・ローレン)は生きている事を信じてソ連に向かい、たった
1枚の写真を頼りに夫の戦友から聞いた町を彷徨い、そこで彼が生きている事を知り、
家を訪れる。その家には彼の新しいロシア人の妻と娘が生活していた。
ロシア人の妻はジョバンナに、雪原の中で凍死寸前のアントニオを彼女が助けたが、
彼は記憶喪失でそのまま居着いてしまい、そして二人は深く愛し合う様になり子供を
設けた事を語る。

夕方6時、工場から帰る彼を駅で待つ二人。列車から降りてくるアントニオを、カメラ
は逆光で撮っている為、彼の顔は見えない。

苦節8年、探し続けたジョバンナの期待と失望と愛と憎しみの顔をアップで捉え、その
真ん中にロシアの新妻が立つ。見渡す限りのひまわり畑。列車から降りたアントニオと
探し続けたジョバンナの再会。と、その瞬間、アントニオが乗って来た列車に、
ジョバンナは逃げる様に飛び乗った。そして客車で大声で泣く。ソフィア・ローレンの
見事な演技と演出であった。
結果は、アントニオはロシアに帰って別離となる。

若い頃見る「ひまわり」、今見る「ひまわり」、ずいぶんと違う。歳は価値を
変えている。楽しいものだ。

私はひまわりを見た後、私の身近で同じ様な事があった事をふと思い出した。

私が甲南大学生の頃、大変お世話になった東灘区のT婦人を思い出した。彼女には戦争
で神戸に来た韓国人の御主人がおられ、苦労し続けて20年の後、工場が成功し彼は
立派になった。
優しい御主人の元に、彼女は韓国から駆けつけたが、既に彼には新しい日本人の妻が
いた。彼女は深江で自ら身を引き、淡々と生活を始める。きっと彼女は辛く、何かを
言いたかったであろう。
救いは私の友人である、甲南大学に通う実子が一緒に住んでくれていた事であろう。

そんな事も知らず、私は自分の母親の様に食事を頂き、私の色々な事を相談もした。
立派な意見を話す彼女は、料理の上手な大きな方だった。しかしある時、「安井さん、
私この頃、髪がバサバサ抜けるのはなぜかな。」と相談された事があった。
今思うと、ストレスからの様に思うが、当時の私は「へぇー、分からんわ。」
と言っただけだったと思う。

本当に戦争はあらゆる事を歪めてしまう、と色々な事を感じたクリスマスイブだった。