のめり込んだ古い映画
舞台は、欧州大戦中のメソポタミア砂漠。孤立したイギリス騎兵偵察隊兵士約10人たちの数日間を、淡々と描いたものだ。
まず、見えない敵のアラブ兵の狙撃で、次々に殺される。最後は一人になるのだが、その間の恐怖が上手く描かれている、驚いたのは、1930年代当時、速度向上に威力を発揮したといわれる二重反転プロペラを持った軍用飛行機が砂漠に着陸するシーンだ。低予算のせいもあるのだろうか、描き方は、今より多少幼稚な感はあるものの、神の問題や人の信頼関係、家族愛といったテーマは、現在とあまり変わらず、ある種、無情な映画であった。
私は、何故か安心した。私の生まれる10年前 ── つまり、80年前の映画でも、人間の持つ大切な感性や、神が重要なテーマになっている。表現や規模に格段の差はあるにせよ、よくここまで描けたと、その描写や俳優の演技の上手さにも感じいった。
次の80年には、映画はどうなるのだろう … いや、いわゆる映画館で観賞する映画は、無くなっているのかもしれない。だがそれでも、名作は残っていくだろうし、残って欲しいと思ったのだった。