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2017年 12月 08日 金曜日

モノクロの、75分の作品を見終わったのは、夜中の0時45分。見始めたら吸い込まれて、止められない。それほど私が… 映画好きなことは、度々書いたり話したりしてきたから、皆さんご存じだろう。

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のめり込んだ古い映画
私が生まれた1943年頃にはどんな映画がつくられていたのかにも、もちろん興味を持っていた。多忙にかまけて探せずにいたら、たまたま集めているビデオやDVDの中に、ジョン・フォード監督による1934年の作品「肉弾鬼中隊」を見つけた。主演はヴィクター・マクラグレンやボリス・カーロフで、フィリップ・マクドナルド作の実話小説「偵察隊」を映画化したものだ。

舞台は、欧州大戦中のメソポタミア砂漠。孤立したイギリス騎兵偵察隊兵士約10人たちの数日間を、淡々と描いたものだ。

まず、見えない敵のアラブ兵の狙撃で、次々に殺される。最後は一人になるのだが、その間の恐怖が上手く描かれている、驚いたのは、1930年代当時、速度向上に威力を発揮したといわれる二重反転プロペラを持った軍用飛行機が砂漠に着陸するシーンだ。低予算のせいもあるのだろうか、描き方は、今より多少幼稚な感はあるものの、神の問題や人の信頼関係、家族愛といったテーマは、現在とあまり変わらず、ある種、無情な映画であった。

私は、何故か安心した。私の生まれる10年前 ── つまり、80年前の映画でも、人間の持つ大切な感性や、神が重要なテーマになっている。表現や規模に格段の差はあるにせよ、よくここまで描けたと、その描写や俳優の演技の上手さにも感じいった。

次の80年には、映画はどうなるのだろう … いや、いわゆる映画館で観賞する映画は、無くなっているのかもしれない。だがそれでも、名作は残っていくだろうし、残って欲しいと思ったのだった。