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2017年 05月 02日 火曜日

この人からは、完全に官僚の臭いが消えた。むしろ庶民派の大政治家になると、そう思ったのは… 久元喜造市長のこと。演説調ではなく淡々と話されるのだが、表情が豊かで身近に感じられるのだ。

そんな久元市長のスピーチがあったのは、4月29日に東灘区住吉の吉田会館の会場で行われた、一般社団法人実践倫理宏正会の創立71周年を記念した朝起会でのこと。

私も古い会員で、もう40年になる。東神戸支舎会長の車谷ひろこさんの丁寧な挨拶と論風講話があり、引き続いて何人かの方のスピーチがあった後、久元市長のスピーチとなった。

久元市長は、
「自分は兵庫区、新開地の出身だが、小学5年の時に北区の鈴蘭台に引っ越した。カエルにカブト虫や大きなムカデ、オタマジャクシ、田んぼではタンポポ・ツクシ・ワラビと、心行くまで楽しんだし、池で泳いで溺れかかった事もあったが、その中で多くの事を自然から学んだ。しかし、今は子供がスマホと共に生きている。確かに、スマホは貴重で便利な物だが、陰の部分を考えねばならない。親が子供にスマホを与えている事で、親子の対話の時間が極端に少なくなってきている。ひどいのになると、幼児に絵本を与えたら、その幼児はページをめくらないで、絵をスワイプした、という話も…」

と話された。市長は、「このままではスマホの奴隷になってしまうので、心配だ」と訴えられたのだった。

会場に集まられた方々は、平均年齢は65才くらいだろうか。頷く方も多く、皆さん、同感でおられたようだ。私は、市長がもう一歩踏み込んで、小学校4年生まで神戸市では私的なスマホの利用を禁止する ─ そんな条例をつくるとでも発言されないかと期待したが、そこまでは仰らなかった。

しかし私は、この問題は議会で議論すべきだと考えている。教育現場でのパッドの利用には、積極性すら必要かも知れない。しかし、一方でゲームなどばかりでは困るし、SNSなどの利用も、先ずは情報リテラシーの基礎を養ってからのことだろうと、そう思っているのだ。

それにしても、市長は話が上手になった。なにしろ、会場の婦人の無理に応えて「こうべ港音頭」をその場で歌い、拍手に恥ずかしそうに笑って応えておられるのだ。会場は、久元一色になっていた。

私は、そんな場面を六甲アイランドでも見ている。私の願う劇場型ではなく、市民の中に生きるいぶし銀のような、そんな市長像に向かっておられる。最後には、会場にいる三人の議員の名前まで挙げる気配りも見せられた。足立ボランティアも「私も自然の中で育ったし、いい話だった」と言ってくれた。いい一日だった。
写真 久元市長