Skip to main content.

2016年 11月 15日 火曜日

私はかつて、震災復興について仲間の議員と本を出した。これからも研究を続けていくつもりだが、その上で… 今回訪ねたここは勉強になる市だ、と確信した。

それは、東北は宮城県の名取市。自由民主党神戸市会議員団で視察に行ったのは、去る11月11日、金曜日だ。

平成23年3月11日 金曜日、14時45分。マグニチュード9.0、震度6強の地震が発生し、巨大な津波がこの町を襲った。なんと、人口7,708人のうち923人が亡くなられた。約8人に1人が亡くなられた計算になる。しかも、今だに39人のご遺体が発見されないままだという。東灘区でもあの時、多くの友人や顔見知りの方がお亡くなりになられた。名取市の市民の衝撃や、いかばかりかと思う。

今回の震災復興の取り組み状況の視察で、私が怒ったのは、阪神淡路大震災の経験から国が学んでいないことだ。震災復興に対する法律があまり変わらず、阪神淡路大震災の時と同じやり方で進めていて、しかも遅いのだ。

例えば、同じように仮設住宅を建て、同じ所に同じ建物を建てている。仮設住宅に600万円かかるなら、600万円の現金を渡し、自分のお金を乗せて自分で建てるか借りる。そうすれば近所の商店が立ち上がることができる。弁当を配るのではなく、現金を配ると近所の商店が立ち上がる。同じ税金を使って同じものを建てるのではなく、この際、より良い効率の建物を建てることにすればいいのに、法律でできない。

また、民間住宅を市営住宅と同じように市で借り上げているのだが、それを平成30年までとしている。きっと平成30年には、神戸市と同じ問題が起きているに違いない。

写真
さらに、私の、「震災時、市民は何時間くらい無政府状態に置かれたか」という問いに、返答がなかった。これは、行政力を計る大きな目安になる。ここで私が気になるのは、名取市の職員の方々は一生懸命で優秀なのだが、政府に対して対抗したり、次の災害のために提案をしようとする気迫が感じられなかったことだ。

人口77,000人の名取市には、神戸市から武田有弘 技術主幹、上畑宏喜 技術主幹と、那須野愛子 技術主査の、3人の職員が派遣され、ご活躍下さっている。嬉しいことである。それぞれ1年と2年になるが、市から順に派遣されている。3人のうちのお一人が「言葉が分かりにくくて…」と苦笑されたのには、活動の御苦労が垣間見られた。

「勉強になる市だ」などというと不謹慎にも聞こえるかも知れないが、私は、多くのケーススタディを重ねて、検証し、未来のために道筋を立てて起きたいのである。それが、あの阪神淡路大震災を、現役の市議として体験した者のつとめだと信じるから。
写真