私は、このG7でやってくる大臣の方々に視察して欲しいと、訴えていたのだ。関西広域の防災委員会でその要望をしようと調べてみると、今回はあくまで保健や福祉が主題であり、地震や津波は対象でない、との報告を受けてしまった。
私は、そんな理由が理解できず、人防の仲間に訴えて、市の幹部に、「この際、神戸の医療産業都市をPRすると共に、世界の人々に災害の怖さを訴えるのも、人類を守る大切なことだから、視察していただくべきだ」と主張していたのだが、なしのつぶてで、そのままになっていた。
ところが、G7のスケジュールが明らかになった時、そこには冒頭の行事が入っていたのだ。私は嬉しくて、同行したいとお願いした。
▲ 当日、HAT神戸で
私は、自分が主張してきたことが ─ 恐らくは井戸知事のご配慮だろうと思っているが、実現しているのをこの目で見たかったし、各国の代表がどんな表情を見せるだろうと、思い巡らしてもいた。当日参加されたのは、フランス・イタリア・アメリカ。それに、オブザーバーで世界銀行に加え、ラオス・ミャンマー等46人だった。
人々は、熱心に説明を聞き、展示などに見入っていた。人防は、色々と工夫をこらしてあり、本当によくできている。中には、自国で経験のある代表もおられ、「そうだ、その通りだ」と、うなずく人が多かった。改めて、人防が伝えていることにふれられて、各々、自国の防災の必要性に思い至っておられる、と思った。
案内の先頭に立ったのは、人防のセンター長 河田惠昭博士と、井戸知事。井戸知事が私の顔を見て、「安井さん、御苦労様」と声を掛けてこられた。行き届いた方である。井戸知事に「いい館を作って下さって…。随分、役に立っていますよ。でも、赤字でしょうかねぇ…」と笑って言うと、「いやぁ、国との交渉が大変で、後々、主計官と厳しいやり取りがありましてねぇ」と、笑って答えられた。いい知事だ。そこには、地元の思いと、国の思いの違いがある。
少しは、神戸サミットのお役にたったような気がした … が、そんなことを喜んでいるようでは、私もまだまだ小物だなぁと思いなおし、一人で苦笑い。お世話下さった市の部長に御礼申し上げ、許された40分の同行を終えたのだった。
▲ 人と防災未来センターに到着した一行