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2016年 08月 16日 火曜日

この話を聞いて残念に感じたのは、時間が掛かっている事はもとより、業者選定はどうなっていたのかや、管理会社がどんな役割をして下さったというのかといったことだ。入居者は… 対価を払っている。その人たちが、なぜここまで苦労されねばならないのだろうか。

新井廣郎さんが、市営住宅の糞害の件で私の事務所へお礼においでたのは、8月12日の朝。冒頭のことがひっかかって話を伺おうとすると、「安い値で、いい所に住まわせてもらっているから、仕方がないです」と頭をかかれた。しかし、長谷川局長がエイヤーと思い切ってご判断下さらなかったら、たくさんの入居者が未だに、ムクドリのフン害と暮らしていただろう。新井さんが言いにくそうに「東部管理センターが…」とつぶやかれた。いろいろと、思いはおありに相違ない。

糞害の件とは、以前このブログでも書いた、中央区にあるHAT神戸の市営住宅で発生した一件。ムクドリが来襲して、テラスがムクドリの糞でまっ白になり、日常生活に支障をきたした。だが、当局に何回も訴えても一向に改善されず、私へ陳情された。当時、いきなり局長へでは現場に申し訳ないからとよく事情を伺うと、なんと約2年以上、管理者を通じて訴えておられた。これでは仕方が無いと思い、被害者の代表者の方々が、長谷川局長に直訴する運びとなったとなったのだった。

局長もよく調べて下さっていて、「ムクドリはなかなか難しいので、思い切って前面すべてネットで覆わせて下さい」との事で、入居者も承諾した。

ところが、そのネット工事が始まるのに、約5ヶ月もかかった。やっとネットを施工する業者が決まって、工事が行われたが、なぜか、防鳥業者でありながら、3羽を中に入れたままネットを張ってしまった。誰もが餓死するだろうと思ったら、仲間のムクドリがえさを口移しに運んで、助けた。その結果、子供が産まれてしまった。さらに、どこか穴を見つけたらしく、出入り自由になった。そこで、新井さんは自分で穴を見つけたり、隙間を探された。発見された穴や隙間は、64箇所。見つける都度まちづくり公社に連絡して、補修し、やっと今になって完成した ─ それで、12日にお礼に来て下さったのだ。

新井さんは「今から、長谷川局長さんにお礼に行きます。直接行っていいでしょうか」と問われた。私が「留守だったら、名刺にお礼を書いて帰ったら」と言うと、笑いながら帰って行かれた。その背中に、きっと今回も、役所の連携プレーのミスなどがあって、住民の方々を待たせたのだろうという申し訳なさが、心をよぎったのだった。