Skip to main content.

2016年 04月 12日 火曜日

耐震工事のために、4月から1年の間休館となる、築80年の御影公会堂。やがて100年を迎える時には、新設される嘉納治五郎資料室が成功していて、皆から変わらず愛され、親しまれているよう、祈っているのだが… その節目に「撤退するのではないか」とメディアに報じられ、多くのファンに心配されたのが、食堂。

写真
実はこの度、市との円満な話し合いで、ほぼ継続していただく方向に向かうと決まった。勿論、細部について課題は残っているが、双方、同じ思いで解決に努めることになった。私も、双方による和やかな懇談会に参加したが、両者が善意の気持ちで向かいあっているのが分かった。

市側には、なんと谷口区長が会議に参加していて、市が食堂を大切に思っているのが伝わってきた。市側は、なんとか継続して、公会堂のため、市民のために美味しい伝統のオムライスを提供し続け、公会堂を盛り立てて欲しいと強調された。

食堂の鈴木さんご一家は、80年の想いと、その間の苦労や大切な思い出がおありになる。誰よりも公会堂を愛し、震災の時には泊まり込んで、元気村と協力して御影公会堂と市民を守られた。それだけに、残して欲しいと願っておられる、文化財に価する窓や机や絵、食器が役人の手で放棄されたり、いとも簡単に断ち切られることへの怒りと無念さを、胸に抱かれているのである。決して無理を言っているのではなく、当たり前のお願いをされているのだ。

しかし、決済権の薄い担当者には返事ができず、意見の相違があった。それが今般、谷口区長が出てこられて、判断が明確になったのだ。鈴木さんの店舗には私も大変お世話になった。政界や選挙のことも良くご存じで、いろいろと御指導下さったこともある。次女の真紀子さんもよく分かった方で、何よりもお父さんのご意見を大切にされ、公会堂を思って下さっていた。

2回の懇談会の議事録は、今後のためにと、双方笑顔の中で交換されたた。
写真
帰りに谷口区長と共に、真紀子さんの御案内でもう一度、館内を見て歩いた。真紀子さんのかねてご指摘通り、そこには、二つの文化財的な机や窓枠、「定食二銭」と書かれたメニュー等など …。忘れ去られていた館内の隅々には、2万組の結婚式の名残があったのである。

机には既に「廃棄」と赤い札が貼られていた。区長はそっと、その「廃棄」と貼られた紙を外した。絵も書類も、すべて市の学芸員に見て貰うことになった。思わぬ宝物がありそうで、楽しみである。
写真